マテリアルピクター7話「妖精と精霊」15
あらすじ
イライザ達を助けに行くはずが、何やら奇妙なモンスターと戦う羽目になったリオン達。
これからこんな事が続くのかと少し不安になって来るのだった。
15
旅と言うかなんと言うかイライザとナナオを助けに行くだけのはずだったんだけど、なんかとんでもない事になっているような気がしてきた。
この後も次々とブヨブヨモンスターと遭遇!
そのたびに皆でそのブヨブヨモンスターを倒していく。今日1日でどのくらい倒したんだろう?
「今ので何回目の戦闘なんだろう?」
あたしはため息混じりにつぶやいた。どうも目的の場所に近づくほどブヨブヨモンスターが増えているような気がする。
「さぁ……?確かにちょっと変だよね」
とゴブリンのクオンが同意する。
「連中は幻みたいな感じなのに、こっちは戦うたびに体力を消耗してしまう。今回で10回くらいは戦闘をしていると思うよ」
「うぇ……、10回……?」
それを聞いてあたしは、ますます疲れてしう。
「どこかで休もうよ、このままじゃ目的地の滝のある場所までたどり着けないよ?」
疲れた様子……のように見えてそんなに疲れていない、ケット・シーのクラウンが言う。まぁこの子は、あんまり動いていないから一人元気なんだけどね。
「確かにここらで休んだほうがいいかもね。それにあのブヨブヨモンスターの事もあんまりよく分からないし。注意して移動しないと……」
ユーディリーも少し疲れた様子言いで、そこら辺にあるむき出しの岩に腰をかけた。
今あたし達は、森の深い部分に差し掛かっているみたい。あんまり空から降り注ぐ光もここまで入ってこない。全体的に暗い雰囲気がある。それに周りを泳いでいる魚もなんだか不気味な姿をし始めているような気がした。
「なんかここの幻の魚達、随分と変な姿をしているわね……」
近くで泳ぐ奇妙な魚を見て、あたしが気味悪そうに言うとユーディリーが、
「たぶん、深海魚じゃないのかしら?」
「シンカイギョ?」
「人間界つまり、物質界に住む海の底に住む魚の事よ」
「へ~、こんな変な魚もいるんだ……」
「マテリアルピクターになったら、本物の深海魚に遭うかも知れないわよ?」
「え!?」
こんな不気味な生き物に遭う?まぁ確かにマテリアルピクターになったらいろんな地域に行くだろう。そこにいる変な生物にもたくさん遭うんだろうけど……。
あたしが、魔物みたいな深海魚を見ながら癒そうな顔をしていたら、
「でも私達には危害を加える事はできないから安心していいわ。だって物質界の生き物は、私達霊体の体に触れる事は出来ないんだし」
ニッコリとユーディリーがそう言ってくれた。そっか、霊体のあたし達に物質体の物が触れる事はできないんだった。
「なんだ~、じゃ大丈夫なんだね。心配して損した」
と、安心していたら
「でも物質界でも霊体を見ることができる人もいるし、触る事ができる人もいるみたいだから注意したほうがいいわね」
「えええ!?」
などとユーディリーが言うのだった。
霊体を見て触れる事ができる人なんているんだ。知らなかった……。
それってどういう人たちなんだろう?
「何面白い話しているの?」
そんな話をしていたら、兄貴やフィフロス、クオンにクラウンと皆わらわらと集まって来ているではないか!
「物質界には『霊体を見ることができる人』がいるって話をしていたのよ」ユーディリーが説明する。
「あぁ、その話か。それなら俺も知っているぜ。爺さんがよく話してくれたな」とクオンが言う。
「そうなの?」
「あぁ、爺さんは昔人間界つまり物質界に遊びに行った事があるんだぜ!」
「あ、遊びに行く!?」
「そうだよ?」
あたしはビックリした!だって物質界って大変なところだって皆言っているのに、そこを遊び場所にしている人がいるとは!
「爺さんが言っていたぜ。人間は面白い生き物だってな!」
何故かクオンは自分の事のように自信満々に言うのだった。物質界に行った事ないくせに。
7話-14へ
続く
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