3話「基礎演習」
あらすじ
あまりの金額に気絶したリオン。
気がついたその場所は、研修所の医務室だった。
そしてもうすぐ戦闘訓練の授業が始まると兄から教えられるのだった。
3
「大丈夫ですか?」
気づくとそこは医務室だった。
「あれ?あたし・・・どうしたんだっけ?」
「あの子が連れてきてくれたんですよ、凄く心配していましたよ。」
あの子?医務室のお姉さんがベッドの右に座っている人を指差した。
見ると兄貴が座りながら寝ていた。
「……」
ひょっとして、また間違えられてる……?
するとお姉さんが、
「かわいい子ねぇ、お友達?」
「い、いえ・・・。う、うちの兄貴です……」
「えっ……?」
しばらく沈黙……。
「えっ、えっ!?ご、ごめんなさい!て、てっきりお友達かと!」
「いえ、いいんです、慣れてますから・・・。ところであたしいつからここにいたんです?」
「えっ?あ、ああ・・・、ついさっき運ばれてきたのよ。あなたが真っ青な顔をして倒れたっていうから、あなたのお兄さんが心配して運んできたのよ」
医務室のお姉さんがそういった。
なんと!あたしはどうやら倒れたらしい。まぁ、今はなんともないので兄貴を起こすことにした。
「兄貴!兄貴!」
「う……、うん?」
少しゆすったら、兄貴がおきた。眠たそうな顔を手でこすり両腕を上げてのん気にあくびなんかして……本当に心配したのか?
「あ、リオン、目が覚めたのか?」
「とっくに~」
「それじゃ帰ろうか?」
「へ?午後の授業は?」
「ないよ、明日は丸一日戦闘訓練だから今日は家に帰ってゆっくり休みなさいって」
「なんだ~、じゃまだ寝ててもいいのか~」
「こ、ここで寝ちゃダメだよ!」
「分かっているわよ」
そういってあたしは医務室のベッドから起き上がった。
「もう、大丈夫なの?」
「ん?なにが?」
「ほら、借金の事とか考えていたら急に気を失って倒れたんだよ……。それでビックリして……」
兄貴が申し訳なさそうに言う。
「あぁ~、気にしてないよ~。だって一緒に帰してくれるんでしょう?」
確かに借金の額はかなりものので、気にしていないといえばウソになるかもしれないけど兄貴が手伝ってくれるというその言葉であたしはだいぶ楽になったのだ。
兄貴が「ほっ」としたような顔をしたので、
「それじゃ、帰ろうか~。明日は戦闘訓練があるんだし~」
悩んでも仕方ないのであたしは、明日の戦闘訓練の準備をしないといけないと思いながら医務室の職員さんに挨拶をして、兄貴と一緒に医務室を出るのだった。
「そうそう、先生が戦闘訓練では買ってきた武器と以前学校で着ていた『ジャージ』に着替えてねだって。」
と兄貴が教えてくれた。
「――へ?ジャージ?」
何故ジャージ……、皆も知っているかもしれないが『ジャージ』とはいわゆる体操着というやつで、学校を卒業してもう着るはずのない思われていたそれをまた着ないといけないのか?まさか、ここでまだジャージに着替えないといけないとは……、どういう事なんでしょう?
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