2話「武器屋と講師」

あらすじ
黒い鎌を気にいたリオン、でも武器を買うのに躊躇する。値段がね・・・
ふと見ると兄のアルデルはいつの間にか自分の物を買っているし。
どうしようかと考えていたら、
「そんなことは考えなくていい」と、言われたのでした。

6
あたしが黒い鎌を物欲しそうに見てると、
「譲ちゃん、もし買うなら30%割引にしてやるぞ!」
「そんなお金もってないもん~、魔法の武器だし持てるどうかも分からないのに……」
そういいつつ、何故かその鎌が気になって仕方ないあたし。
「なら、分割払いならどうだ!?」
「いや!」
「リオン、まだ決まらないのか……?」
兄貴のアルゼルが、どこから持ってきたのか椅子に座りながらぼっそりと言った。手には一冊の本を持っている。
実はかれこれ1時間以上このやり取りを繰り返しているのだ!
兄貴はすでに自分専用の武器と防具を買っていたのだった。
ちなみに兄貴が何を買ったかと言うと、辞書の様に分厚い本と上質な毛で作られた厚手の生地で出来たローブ。
……なんだろう?いつもと変わらない格好だ。
しかも選んだ色は黒!武器屋で買った物だからそれなりの魔法やら防御やらが施してあるのだろう。
兄の買った黒い本やと黒いローブには金の刺繍が施されている。奇妙な形をしているので、魔力が付与されているんじゃないだろうか?
でもまぁ、自分も人のことは言えない。今欲しがっているのも黒の鎌だし。
「それにしても本って、武器にもなるんだ……。知らなかった」
て、あたしが兄の持っている黒い本を見て言うと
「これは魔道書!武器じゃない!」
兄貴がむっとした顔で言い返した。
すると店長のブリュッケルさんが、
「魔道書に魔力をこめることで、物質界でも魔力を使うことが出来るんだよ」
「えっ!、魔力を使うと命取りになるんじゃないの?」
あたしが疑問を口にすると
「たしかに物質界で魔力を使うのは危険だが、魔道書や水晶などに魔力をチャージしておけばいつでも好きなように魔力を使うことが出来るんだ。魔法薬よりも大量の魔力をチャージできるから魔法が得意な魔法使いはよく買っていくよ。物質界でなくても非常に使い勝手がいいからよく売れる。まぁ、その分金もかかるんだけどな!」
いつの間にそんな便利なものを買ったんだ!?しかも、魔道書って結構高いものを!買ってきたローブもほんのりと魔力の光で輝いていた。やっぱり何かしらの魔力が宿っているようだ。
あ、あたしも早く買わないと!
「お金余っているから、その鎌買いなよ」
「へ!?いいの?」
「いいよ、どうせお金払うのはセンターの方だから」
「……そうだっけ?」
「そうだよ?」
何か変なこと言った?といった感じで、兄のアルデルが首をかしげる。
そうだった!よく考えればこれらの買い物のお金は全部センターが出しているんだった。
あたしは、思いっきりその事を忘れていた……。
ということは、好きな武器を買う事が出来る!
あたしは早速、一目で気に入った黒い魔法の鎌を買うのだった。
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