2話「武器屋と講師」
あらすじ
マテリアルピクターについてちょっと分かってきたリオン達、でも今は武器を買いに来たのだ。
店の中を物色していたら、気になる武器を見つけたリオン。
それは全身真っ黒な一振りの鎌だった。
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店にはさまざまな武器が置いてあった。
ロングソードにショートソード、バスタードソードにグレートソードなどよく見るオーソドックスな剣、ちょっと珍しいレイピアに曲線が珍しい日本刀、弓にボウガン、補給用の矢、鞭や槍、小さなダガーやナイフもある。
ガラスケースには拳銃が置いてある。そのほかにもマシンガンやショットガン、レーザーガンなんかも置いてある。もちろん横には銃弾のセット販売中とかなんとかいろいろ書いてあるけど、どれもこれもみな高い!
魔力が付与された魔力剣や魔銃なんてもっと高い!値段なんて通常の5倍から8倍の価格だ!
何故高いかと言うと、魔力を施した武器は壊れにくいのだ。基本は攻撃力が高くなるように魔力がこめられているのが多いが、稀に武器自体に特殊能力を思っているものがある。
武器を選びながらあたしはふと疑問に思った。
「そういえば、人間は魔力や霊力が少ない世界でも平気なの?」
すると店長さんが、
「人間は、魔力や霊力がなくても生きていけるんだ。肉体って言う有機物の入れ物の中にいるからな。」
「そうなの?ていうか、店長さん、行った事あるの!?」
あたしはちょっとビックリした!
物質界に行ったことがある人がいるなんて!それは兄貴も考えの様で、
「人間ってどういう生き物なんですか!?物質界ってどんなところなんですか!?」
すると店長さんは、
「アハハハハハッ!!!
そう言うことは、講師に聞くんだな!ほら、それより早く武器を選べ」
「ぶ~、教えてくれたっていいのに~」
また、講師ですか?
人間や物質界のことは、教科書にはそんなにたいしたことは書いていなかったしどうも言うものなのか多少は正直興味があった。
ちょっと気分がそがれて店の中をうろうろしていたら、一振りの鎌を見つけた。
黒い鎌だ。鎌の長さは150くらいかな?あたしよりちょっと小さめ。何の装飾もされていないが全身それがまるで黒曜石のように光沢のある黒い鎌だった。だがほんのりと鎌の周りに緑色の光が輝いて見える。
この鎌にも魔力が付与されているんだろうか?
「ほう~、それが気に入ったのか?でも鎌って言うのは、案外扱いが難しいぞ?これにするのか?」
「え!?い、いや……その……」
あたしが口ごもると、
「これって高いんじゃないんですか?」
兄が背後でぼっそりと言った。
「――!!!?う、後ろから急に言わないでよ!び、びっくりするじゃない!!」
ほんと、毎回あたしの後ろからいきなり言うからびっくりするよ……。
「……う~ん、まぁ~な~。これは……、特注で作ったものなんだ」
「特注品?」
あたしは聞き返した。
「じゃ、買い手がいるんですね?」
兄は鎌を見ながら、店長に聞いてみた。
「そのはずだったんだが・・・、もう不要になったとかで結局売れ残ってしまったんだ……」
「えーーっ!!?特注品なんでしょう!?何で買わないわけ?」
こんな綺麗な鎌なのに、自分で注文しといて何で買わないんだろう?もったいない!
あたしが怒っていると、
「仕方ないのさ、これは間違って作ってしまったものだからね……」
「え?間違えた……?」
「ずいぶん前の話なんだが、本当は剣を作ってほしいと言われていたんだがどこでどう間違えたのか出来上がったのは鎌だったんだよ。で、お客が怒って『こんなものは入らない!』って言われてしまってね。
そのときはまだ店を始めたばかりだったし本当にあせったよ。あとできちんと注文どおりの剣を作ってお客に渡したんだけど、結局この鎌だけはず~とここに置きっぱなしになったと言うわけ。」
「じゃ、結構古い鎌なんですね。でもなんで売れ残っているんです?かなりいい武器だと思うんですが……?」
兄貴はかまを見て不思議な顔をした。確かに刃も鋭くて全身黒くて一見重そうに見えるけど、持てばとても軽いんじゃないかな?魔力が付与されているみたいだし……、それにカッコいい!
「実はもう一つ失敗があってな、人を選ぶように作ってしまったのさ。」
「……」
おいおい、どっかの偉大な錬金術師や大魔法使いじゃないんだから……。
ただの武器屋がそんなもの作るなよ。
あたしと兄貴はそう思った。
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