1話「魔界の少女」
あらすじ
会場であった魔女イライザのマテリアルピクターになった動機が、なんともはや単純な動機でこの場所に着たとは……驚くばかりのリオン。
何とか会場を後にすると母の櫻音が、リオン達2人にお祝いをしてくれると言う。
8
会場から出ると、母が今日はお祝いだからと外で食事しましょうと連れて行ってくれた。
つまり、外食!レストランだ!!!
本格的な研修は2週間後からということなので、少しの間休みが取れる。まぁ、その間にいろいろと準備もしないといけないのだけど、今日くらいは楽しんでも問題はないはずよね!
滅多にない、母との外食だったのでちょっと浮かれていた。
「ね~ね~、どこのレストランへ行くの?」
「うふふふっ、お母さんのお友達がやっているお店よ~♪」
「ふ~ん、お母さんの知り合いね・・・」
あたし達が楽しそうに話をしている後ろから、すっごく顔色の良くない兄アルゼルがトボトボと歩いている。ふっ、仕方ない。会場にいる間イライザがず~と、くっ付いていたからね・・・。ふだんあまり表情を見せない兄もさすがに今回は顔も青ざめおもいっきり疲労している。まさか、自分に興味があるとは思っていなかったものね・・・。イライザは会場を出るまでずっとくっ付いていたけど、さすがに呆れたナナオに注意されてというか引き剥がされて仕方なく離れていったっけ・・・なんとなく、これから大変そうな気もするけど、今はあたしの頭の中はレストランのフルコース料理で頭がいっぱいだ!兄貴のことなんかどうでもいいのだ!
センターを出てから1時間ほど歩いた先に母の知り合いのお店が在った。
「なんかレストランって言うよりは……、なんと言うかこれっていわゆる屋台……?」
「安いから、好きなだけ食べていいわよ~♪」
そ こには言っちゃ悪いが古びた屋台があった、かなり古い人間達の言うところの昭和を思わせるような木で出来た屋台がそこにあった。屋根は虫に食われているのか結構穴だらけで、ところどころカビなんかも生えてる……。
暖簾なんか黒くなりすぎて、なんていう店名なのかも分からないほど汚れきっている。
これがレストラン……?あたしの中の高級レストランのイメージが崩れている……!!!
ふ~、何故だろう?ふつふつと怒りが湧き起こるんだけど……!?
「これのどこがレストランなのよ~!!!ただの屋台じゃん!!!」
あたしは屋台に指を指すと、母が
「何を言っているの?お母さん、レストランに連れて行くなんて一言も言っていないわよ~?」
「……?」
母が頬に手を当てて困ったような顔をした。
思い浮かべてみると、確かにいっていなかったような気がする……。
「お前って、すぐ早とちりするよな……」
背後で兄貴がボソッと突っ込みを入れた。
ちょっとだけ、静かな沈黙が~
うううっ、どうしよう・・・誰か何とかして~
「ん?お客さんか?」
「あ、叔父さん久しぶり~」
母が屋台のほうに手を振る。
すると屋台の奥から、爬虫類を思わせるような風貌とどっかで見たことあるようなおじさんが出てきたのだった。
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