マテリアルピクター8話「水中回廊」16
あらすじ
戦闘の準備の途中でわかったリオンの能力…【センスマジック(魔力感知)】
自分の性質を考えるとちっとも役に立たない。むしろ兄の能力と交換したほうがいいなどど言われる始末。
でもそんな事はどうでもよくて、今は邪魔な魔物を倒すのが優先なんだけど…。
16
あたしの落ち込みなんかどうでもいいらしく(当たり前だが)、みんな戦闘の準備を整えていた。
ここから先は、モンスターと闘いながら進んでいくのだ。
『みんな準備はいい?』
兄のアルデルが、皆に合図を送る。
皆が頷くと、フロアの中の様子を見る。
フロアの広さは10メートル前後の正方形の形をした広間で、中にはやはりブヨブヨモンスターが5匹うろついている。ちなみにモンスターの形は爬虫類を思わせるような姿をしている。
よく見ると、5匹の内2匹が赤みを帯びているのが分かる。色違いということだろうか?
『モンスターが5匹いるね、しかも内2匹は赤色か…』
クオンがフロアを覗いてモンスターの確認をした。
『どうする?』
『まずは、俺が魔法が効くかどうか攻撃魔法で試してみよう。それで今のうちに他の皆は、自分に有利に働く補助魔法を掛けておいてくれ。魔法が効かなくても、攻撃に移るつもりだから』
『分かった』
そう言うと、クオンは呪文を唱え始めた。
【地の底に眠る渦巻く劫火、怒れる大地の化身、地に流れる生命のと破壊の源よ!天を焼き尽くす柱となれ!《烈火緋柱真(グランド・フレア)》!!】
その魔法は精霊魔法ではなく、あたし達が魔族使うの魔法だった。
クオンの唱えた呪文は完成し、ブヨブヨモンスターの2匹の地面から薄っすらと魔方陣が浮かびかがったかと思ったら、そこから物凄い炎が噴き出し文字通り赤い火柱が立ち上がる!
『ええっ!?クオンって、魔術も使えるの!?』
あたしがびっくりすると、
『まぁ、総合魔導師だからな…』
と、フィフロスがそう答えた。
『魔導師だから?魔導師だと使えるの?』
あたしの頭に疑問符がいっぱい浮かび上がる。
『リオン、魔導師と総合魔導師は違うよ』
兄のアルデルが言った。
『今はそんな話している場合じゃないでしょう?行くわよ!!』
ユーディリーが言った。
そうだった、今は戦闘中だ!余計な話をしている場合じゃない!
ブヨブヨモンスターが苦しんでいる!というか、溶けてる?
どうやら炎の魔法は、効果抜群のようだ。
あたし達も自分の武器や身の回りに魔法をかけて、モンスターの所へと駆け寄る。
『うりゃ!!』
フィフロスがモンスターに殴りかかる。
彼の拳にはナックルが装備されている。そのナックルは淡い光に包まれている。ナックルに強化魔法をかけているようだ。
殴った部分がおもいっきり弾ける。モンスターの体液が当たりに散らばる。
『ついでにこれも喰らえ!!』
殴ったあとに続いて、足蹴りを食らわす。
蹴られたモンスターは吹っ飛び、壁にぶち当たる。蹴られた部分からは、水が張り詰めたビニールや風船が破裂したみたいに中の液体がドバドバと勢い良く溢れ出す。
そんな状態でもモンスターは動いているので、外にいた奴よりはかなり体力があるようだ。
モンスターと戦っている彼の足をよく見ると、履いているブーツにも魔法を掛けている様子。
フィフロスは実に嬉しそうに、モンスターをボコボコとタコ殴っている………。
『フハハハハッ!!!!』
鬱憤が溜まってたのだろう…、殴られたモンスターは見事に倒され小さな霊因子となって消えていく。
その光景を見て、あたしは何故か頭を抱えるのだった。
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