マテリアルピクター8話「水中回廊」10
あらすじ
モンスターのいる方へ行くことになったリオン達。
どこにモンスターが居るのかわからないかという話になり、そんなの分かるはずもなく…。
出来ればあまり戦いたくないなと思いつつ、何故かみんなから戦闘要員扱いさっるのだった。
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『こっちの方にモンスターがいるみたいだぜ!』
フィフロスが嬉しそうに通路の右側を指差す。
『確かに向こうに何か居そうね……』
ユーディリーも何かを感じていそうだ。
ちなみにあたしは何も感じない・・・。
その様子を見ていたクオンが、
『大丈夫だって、モンスターが出た時はしっかり働いてもらうからさ』
『あたしは戦闘要員か!?』
『似たようなもんだろう?』
などと言うので、すかさず突っ込んだ!あたしは戦闘要員じゃない~!!
『騒いでないで、向こうへ移動するわよ!』
と、ユーディリーに怒られた。
通路を右側に進むと、今度は見た事もない広間に出た。今まで通路しかなかったのに、こんな広い空間があるなんて…。
『広い!こんなところがあったのね…』
天井も高い、なんて広い空間なんだろう?ところどころに宮殿や神殿などで良く使われる白く大きな柱が、等間隔で綺麗に並んでいる。でもやはり全体的に薄暗い。
『どうやらここが正しいルートみたいだな』
フィフロスが確信を得たみたいな口ぶりで言う。まだここが正しいとは限らないのに…、なんと言う自信ぶり!
『適当なこと言っているんじゃねえよ、どうせ考えなしに言っているんだろう?』
と、クオンが突っ込みを入れる。
『あ、分かった?』
どうやら何も考えていないようだ。まったく、何でいつも自信たっぷりに言うんだろう?
『皆静に!向こうに何か居るみたいだわ!』
ユーディリーが警戒する。
確かに、何か一瞬動いたような気がした!
何が居るわけ!?
すると………。
ズル………、ズル………、ズル…ズル…。
何かを引きずるような音………。
『こ、怖い………』
クラウンがガタガタと震えだす。彼女の猫耳がしゅんと垂れる。
ズル……、ズルズル……、ズルズルズルズル…………!!
音の数がだんだん増えてきた!しかも物凄く大きな音と主に!
『明かりの魔法を!』
誰かがそう言う。
ユーディリーが言ったのかもしれない。
すかさず兄のアルデルが呪文を唱える。
【光よ!暗闇を照らす星々の輝きと月の雫、太陽の一欠けら、かの地に暁の光を掲げん!
夜の灯火(ナイト・ブロウ)】
呪文とともにランタンに似た光が広間を映し出す。
その魔法の光は、す~と天井へと行きある程度の高さに達すると動きを止めた。
最初は暗くて見えなかったのだけど魔法の光に照らされて初めて知ったのだけど、天井には人魚の壁画が描かれていた。人魚にしては少し姿が違う。たぶん、人魚ではなくきっとここを作った海の精霊なのだろう。
そして、その光は別の物も映し出していた。
高さはいくつあるのだろう?それはまるで巨人のように大きく、そして外の結界で出会ったあのブニブニモンスターとも少し違う生き物がそこに存在していた。
全員、顔が真っ青………。
『―――っ!!!な、な、何………。これ………?』
あたし達は音の主を知るのだった。
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