あらすじ
モンスターを避けて移動していたリオン達。だが一向に先へ進めない。
そんな中通信回線で講師のフロン先生に「モンスタ-のいる方へ行ったほうがいいのではないか」と言われてしまうのだった。
モンスターは主を守るように存在している、つまりモンスターのいる方に目的場所があるということなのだ。
早速モンスターがいるかどうか探るリオンたちだった。
9
1人なのもしないでボーとしているあたし。
他の皆はモンスターの気配を探ってる。
退屈だな~。
『ふぁ~』
あたしは、大きく背伸びをして思わずあくびをしてしまう。
『緊張感ね~な』
『しょうがないじゃん、あたし何も出来ないもん』
クオンが笑いながら言う。文字通りあたしは何も出来ない。
『だったら、練習すればいいんじゃないの?』
『練習?』
『センスオーラの練習だよ。竜族なら出来るはずだよ』
『竜族ならできるはずって、どういう事なの?』
センスオーラって練習すれば出来るようになるの?しかも竜族ならできるって・・・、意味が分からない。するとクオンが質問してきた。
『リオンはさ、自分のこと何だと思っている?』
『え?自分の事?』
自分の事…、あんまり考えた事はない。それとセンスオーラと何か関係があるの?
『ひょっとしてリオンは自分の事、魔族だと思っているのかな?魔族の中の種族だとか思っていない?』
『え?違うの?』
『やっぱりか………』
何がやっぱりなの?魔族じゃなければなんだというの?ここは魔界ですよ?魔界で生まれたんだから魔族なんじゃないの?そりゃ、魔族にはさまざまな種族が居るけど、皆魔界を故郷としている種族ですよ。
『何がやっぱりなの?全然分からない。それとセンスオーラと何か関係でもあるの?』
『そりゃあるに決まっているさ。それにしてもな……。これって、黒竜族の特徴なのかな?それとも習性?魔族の中で育つとこうなるのか……。兄貴とはえらい違いだな………』
なんかムカツクんだが………。
クオンはあたしの疑問に対し、適当に答えるとぶつぶつと言いながら一人呟いている。するとクオンがまたあたしに質問する。
『アルデルも同じように一緒に育ったのか?』
『一緒に育った?』
『え~とだな。同じ学校へいって同じ町に住んで……、そんな感じで』
『変な事聞くのね?う~ん、え~と、幼稚園までは一緒にいたけど魔界第7王立教育学校へ入学する時、一時的に兄貴はおばあちゃんの所へ行ってたかな?理由はよく分からないけど・・・。おばあちゃんの事で勉強してたみたい、良く休みを利用して家に帰ってきたりあたしが休みの時はおばあちゃんの家へ行って会いに行ったりしていたけど?5年生の時に、家に戻ってきてそれからず~と一緒だよ?』
あたしは昔のことを思い出しながらしゃべった。
ちなみに魔界では幼稚園は4年、学校は9年の計12年義務教育と魔法などの基礎学習を習得後無事卒業すると、就職活動をする事ができる。もちろんその上の学校へ進学する人もいる。幼稚園に行く前に塾に行ったり習い事したりする人もいるのが普通で、人間社会で言うところの幼稚園というのは小学校低学年といった感じかな?で、学校って言うと人間社会で言うところの小学校高学年から高等学校を意味する。
実際の年数に換算すると250年から300年くらいの教育期間というとこかな?それ以前の習い事と帰れると350年から380年くらいだと思う。勉強スタイルは、ゆっくりじっくり学び考えるという感じ。長期にわたって研究やら観察、見学などをしたり、中には数週間泊りがけで一つの事を勉強したりする場合もある。期間が長いし授業自体は午後1時か2時頃に終わってしまうので、その午後の時間を部活やアルバイトでお金をしたりする人もたまにいる。生徒が働く事を禁止していないので基本自由。
ただ魔界の学校では、進級するたびに【進級試験】を受けて合格しないと進級できない。卒業場合も【卒業試験】を受けて合格しないと卒業できない。主に試験は、筆記テスト、基礎体力テスト、魔力テストの3種類。筆記テストは科目があるので実質的には数が多いのでとても大変だ。テスト期間は大体1ヶ月くらい掛かる。
魔族は実力主義社会なのである程度の実力がなければ、学校すら卒業させてくれないのだ。学校のほうも競争が激しく優秀な生徒をたくさん輩出しようと競い合っている。成績優秀な生徒であれば飛び級もあるし、ダメな生徒だと留年する事もあるので子供に掛かる教育費が異常に掛かると親の心配の種となっている。なので子供も必死になって勉強するのだ。これは教育問題として毎年議論される話題だ。あたしはまぁ何とか卒業したので現在ここにいるんだけど。
あたしの話を聞いたクオンはなんだか納得したようで、
『なるほどね………、そう言うわけか。そうなると俺にはどうする事もできないな』
『何がなるほどよ!何が出来ないのよ?どういう意味か教えてよ』
『それは俺には教えられないな、自分で分かるしかないね』
そう言うとクオンはまたモンスターの気配探しを始めるのだった。
人に吹っ掛けておいて、結局は無視かい!まったく…!!!
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