マテリアルピクター7話「妖精と精霊」17
あらすじ
ブヨブヨモンスターを倒しながら進んでいくリオン達。
モンスターに遭遇しないように補助魔法をかけながら先へと進んでいく
ふと気がつくと、モンスターが姿を現さなくなってきたのだった。
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17
夜明けとともにあたし達は移動を開始した。
兄のアルデルがモンスターが来ないように魔除けの魔法を全員に掛け、ユーディリーが草木に頼んでモンスターのいないルートを教えてもらい、クラウンが移動速度を上げる魔法を全員にかける。クオンが皆に防御の魔法を掛けて安全を確認した後移動を開始した。
どうやら魔法が上手くかかっているようで、ブヨブヨモンスターは近寄ってこない。というか、その姿すら見かけない。本当にあれは新種のモンスターのようだ。
移動して1時間。どうやらあたし達は安全ルートを辿っているみたい。
「あのブヨブヨ襲ってこないね。本当にモンスターなんだ……」
「そうみたいだな。でもあれはまだ弱っち方だし、もしあれの進化系なんかが出てきたらどうする?」
とクオンがなんだか面白そうな話題だと思ってあたしに質問してきた。
「あ、あんなブヨブヨの進化系なんてごめんよ!幻の癖に液体は汚いし、服も何故か汚れるし。迷惑です!」
「うむ、確かに何故か服は汚れるんだよな。何でだろう?」
「知らないわよ、そんなの」
「もしかしたら、少しずつ実体化しているんじゃないかな?そう思うんだ」
「え?実体化?」
クオンは何かを考えながらそう言った。実体化?どういう事だろう?
「それってどういう事?」
「俺の推測なんだけど、あのモンスターは水のマテリアルが作っているんじゃないなって思うんだ。でもモンスターを作るには莫大な魔力が必要になる。俺が思うに今の水のマテリアルには結界を張る力はあるけどモンスターを生み出すほどの力はないと思うんだ。なぜなら、俺達が結界の中に入る事ができたから……」
「そ、それってつまりどういう事?どこかで魔力を手に入れているって事?」
「……」
何故か皆沈黙する。
ちょ、ちょっとまさか……。
クオンが遠慮がちに言ってきた。
「これは本当に俺の推測だよ?決してそれが本当というわけじゃないと思うんだ」
「いいから本当のことを言って!」
今まで移動していたけどそのときばかりは皆立ち止まった。
「私も知りたい。クオン、何か思い当たるんじゃないのか?」
ユーディリーも真剣な顔をしてクオンを見る。
「ちょっとして、他者から魔力を得ているんじゃないのか?」
「え?」
兄のアルデルがそう言った。
「他者って……、まさか……」
「たぶん、イライザとナナオの魔力を吸収しているんじゃないか?そう思っているんだろう?」
アルデルがクオンに向かってそう言った。
「――たぶん、そうかもしれないと思っているだけだよ。でもほら、違う場合もあるし皆そんな真剣に考える事はないと思うよ……」
クオンが取り繕うように言う。
マテリアルはエネルギーを発する物で、吸収するなんて聞いた事がない。でももしそう言う事があるとしたら……。
「それって、イライザとナナオが危ないって事……?死んじゃうって事……?」
「リオン、大丈夫だから!だから皆で早く助けに行こう!ね!?」
兄貴が慌ててそう言う。
「悪い!俺も変な事言った!謝る!だから泣くな!!」
クオンも何故かそう言う。
なんだか分からないがその後のことはあんまり覚えていない。ただただ悲しくてしょうがなかったのだ。自分の知っている人が危険に遭っているというだけで、凄く悲しくなってしまったのだ。
「泣きながら歩いているよ……。よっぽどショックだったんだね」
心配そうに後ろを振り向くクラウンがユーディリーにそう言った。あたしはどうやら一番後ろを歩いているようだ。
「お前が変なこと言うからだぞ!」
列の後ろのほうで、フィフロスがクオンに文句をいうのが聞こえる。
「わ、悪かったよ……」
クオンも罰が悪そうに謝っていたような気がする。
「遠目で見たいてけど、ケンカもしていたしよく一緒にもいたからきっと仲のいい友達なんでしょうね」
「うん、だったら早く助けに行かないといけないね!」
あたしの様子を見ていた、ユーディリーとクラウンが決意したかのように言う。
「リオン……」
あたしは放心状態の後、兄のアルデルに付き添われながら丸々1日泣きながらで移動していたのだった。
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