1話「魔界の少女」
あらすじ
なんとか母親の許可を得たリオン。
リオンの両親はほとんど家にいないので、子供の勉強やら職業やらは全部お手伝いの黒竜範空がやっていたのだ。
そして、リオン達はこれから所属し働く場所になるであろう『第7王立マテリアルセンター』に到着したのだった。
6
王立第7マテリアルセンターの施設は白を基調とした概観で、魔界では珍しい緑の木が植えられている。 なんでも物質界に生えている植物らしい。
会場に着くとたくさんの人でいっぱいだった。
この中で、無事「マテリアルピクター」になれるのはほんのわずか。
緊張した面持ちで、あたしは会場に入っていく。
それに続いて、兄のアルゼル、母の櫻音が続いていく。
説明書に書いてあった指定席に着こうとしたら……。
みょーにトーンの高い声、しいて言えば高飛車?な声が聞こえた……。
「あら?誰かと思えば、リオンじゃないの?」
「本当ですわ~、リオンよね~?」
……何か会いたくない人物に遭遇したわ!
「あら、挨拶はないのかしら?リオンさん?」
イライザ・ゴルベル・・・学校の同級生だった女、白い肌に青い瞳、肩まで伸びた金髪にゆったりとしたウェーブのかかった巻き毛に頭には赤紫色の魔女の帽子と同じおそろい色の魔女の服着ているなのだけど、体のラインを基調としたドレス風にスカートにはスリットのはいった服を着てあたしを見下ろした。ゴルベル家は魔法工具の開発と製品販売の大手で有名な財閥企業だ。彼女はそこの令嬢、しかも由緒正しい魔道士の家系の出身。
魔道士というのは魔界の中でも魔力が強くその扱いも一流の者達で、職種はどうあれそれ以外のものはただの魔法使いといわれる。歴代の魔道士の中には魔王になった者もいたとか・・・ちなみに、女の魔道士は「魔女」といわれる。魔道士を名乗れると言うことはつまり、魔法を扱う者の中でもエリートであるということでもある。たいていの魔道士は学者や教授、研究者や、中には王宮魔道士などにつくものが多い。 もちろん、本人も凄腕の魔道士だ。
う~ん、相変わらず凄い格好だ……。
でも、何でここにいるんだろう……?
お嬢様にはあまり関係ないところだと思うのだが……?まさか、ここに就職するわけでもないしね~。
「ちょっとリオン、あなたイライザ様に挨拶しないわけ?」
短く切ったオレンジかかった髪の色に緑の目の小さな少女、ナナオが不機嫌そうにイライザの後ろでまくし立てる・・・。なんだか相変わらずイライザの腰ぎんちゃくやっているみたい。
彼女の格好は頭にかぼちゃみたいな帽子をかぶり、背中には髪の毛と同じオレンジかかったマント、服はかぼちゃパンツみたいな短パンに白のブラウス、首から大きなペンダントがぶら下がっている。背もあたしより低いし・・・一応、こいつも学校の同級生だったやつ。一応こいつも魔女の家系出身なのだが、あんまり強くない。というか、悲しいことに魔力の扱いが下手。イライザの家で代々使えているいわばお付け目役だ。
「何であんた達、ここにいるの?」
って、あたしが質問しようとしたら!
ドダドダドダッ!!!!
何かを見つけたのか、もうダッシュであたしの後ろを入っていた!
「アルゼル様!あなたもここを受けていたのですね!
まぁ、偶然ですわ!!私もですの!!!これって、運命ですわよね!?」
彼女の頬はピンク色に染まり瞳をきらきらさせて兄貴に言い寄ってる……。
「…………」
「…………」
ふっ、そういうことかい……、兄貴がすごい戸惑ってるというか困惑?……知らなかったよ、あたしにちょっかい出す理由はこれだったのか……。
「ナナオ、あんた大変だね……」
「まぁ~ね~……、あんたも気をつけな……」
二人はため息をついた……。
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