5話「実施訓練(前編)」
あらすじ
リオン達を襲ってきた妖鳥族の2人組み。とりあえず気を失っているようで……。
ほっとくの?と疑問に思いつつ、兄のアルデルはと言うと「今は訓練中だから後回し」と言うので仕方なくマテリアルを採取しに行くのだった……。
これはいわゆる
「競争」と言うやつなんです^^;
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妖鳥族の2人は今だ気絶中。
一方あたし達はこれからマテリアル採取を行う。
ちょっとドキドキしているあたし。
だって、いくら実践訓練とはいえマテリアル採取を行うなんて夢にも思わなかった出来事だし、なによりこれが初採取になるわけだ!
「それじゃ、リオン準備はいいね?」
「う、うん!」
あたしの武器にはすでに魔力が上乗せされている。あれからしっかりと魔法の練習をしたからちゃんと効果も出ているし、詠唱による失敗もない。
一番の不安は、採取中にまた変な連中(他の研修生)が来ないかどうかと言うことくらい。
「それじゃ、行くよ!」
そう言うとあたしと兄はマテリアルに攻撃を仕掛ける。
このマテリアルはどうやら風属性のようだ。
シールドに当たるたびに風を切るような音とともに、体のあちこちに擦り傷が出来る。兄貴に防御魔法を掛けてもらっているのだけど、その防御魔法のおかげで威力は弱くなっているのだが残った力が防御へ貴を突破して小さいダメージがこっちにちょこちょこと伝わってくる。
「痛い~!!」
「攻撃の手を緩めちゃダメ!!」
と、ちょっと休もうとすると兄貴に怒られる。
よく見ると、兄貴には掠り傷一つない!どういうこと!?
「同じように攻撃しているのに、何で兄貴は傷一つなの!?」
「ん?ダメージは一応着てると思うけど……?」
思うけど……?とは、どういうことよ!!
はっ!!そういえば昔、小さい頃おばあちゃんがこんな事言っていたような気がしたのを思い出した。
祖母はいつも黒い服を着ていたのを思えている。思えば趣味が兄と似ているような気がした。
『おばあちゃん、大人の竜ってあたしとどこが違うの?』
『ん?そうね・・・われわれ竜族はね、成体になると本能で自然保護障壁といバリアが張られるのよ。それに皮膚も丈夫になるし筋力も他の種族よりも強くなるから手加減するのにちょっと練習が必要になるわね。それ以外にも大抵の魔法なら呪文なんか必要なしで使うことも出来るようになるのよ。力が高まれば竜に変身して我々独自の固有魔法も使えるようになるのよ』
『それって、リオンも出来るようになるの?』
『おほほほほっ、リオンが大人になれば出来るようになるわよ』
『ホント?じゃ、どうやったら大人になれるの?』
『フフフッ、それは自分で見つけなければダメよ』
『自分で見つける?』
『そうよ、大人になることは自分で見つけることなのよ。竜族のすべてが大人になれるわけではないのよ。だからリオンも頑張って見つけないといけないわね。でもね、力を持つと言うことはそのリスクも背をわないといけないということも考えないといけないのよ』
『りすく……?リオンよく分からない・・・。でも大人になる方法、絶対見つけるもん!見つけて大きくなって大人になるもん!それで強くなるんだもん!!』
『あらあら……、リオンは大人になるのにいったい何年掛かるかしらねぇ~』
などと言って祖母に思いっきり笑われたのを思い出した。
ちょっと恥ずかしい記憶を思い出しつつ、大人になればいろいろな力が身につくのだと今さらながらに思ったのだけど……。生まれてこの方500年近く生きているけど、今だ大人になれない自分。
双子の兄はいつの間にやら成体になっているし……、何が違うんだろう?何が足りないんだろう?
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