プロローグ
4
ここは日本、だと思う……僕が今いるところは県立紀宝大学病院だと思った……。
通り過ぎてゆく人々(病院の人?)が日本語をしゃべっているので間違いない。
僕は、15年前までここの病院の患者でした。
僕の死因は「病死」?だと思った、たぶん……
え~と、何の病気だったかな?……思い出せない……忘れてしまったみたいだ。
ふ~……、ここでぼーとしているといろんなこと忘れてしまいそな気がする……。
こうしている間もいろんなことを忘れていくのかもしれない……。
ああっ!!忘れるところだった!僕の名前!
秀一です、「糸井秀一(イトイ シュウイチ)」
歳は15。死んだ歳だけど……たぶんあっていると思う…
幽霊年齢もあわせると……30歳?
われながら、アホな計算して時間をつぶしている……
外見はメガネをかけた普通の学生……だと思う。中学は出たと思った気がしたから、たぶん高校に行く前に亡くなったと思う。普通は入院服(寝巻き?)なんだろうと思うけど、きっと僕は高校に行きたかったんだろうな・・・だから学生服を着ている。
ところでこの僕がかけているメガネとか着ている学生服とかって、何で出来てるんだろう?
自分でもよく分からない。
そして今日もボーとして何気に空を見たら、僕は一人の女の子と目が合った。
結構かわいい!!
もちろん、人間じゃないけどね。
その子は、薄い青緑の長い髪をツインテールにしてコウモリのようなデザインの形をしたかわいい髪留めをしている。服は黒のベストに白のひらひらの短いスカート、黒のロングブーツ。瞳は金色でとても綺麗だ……。
手には何か物騒な大きな鎌っぽいものを持っている……。
背中には黒いコウモリに似た羽が生えている。でも形状はちょっと違う。
金属のように光沢があり、羽の皮膜に当たる部分はとても細い。
よくあんなので空が飛べるなと思ってしまう。
もしかしたら、飾りなのかな?と一瞬思ったけど、よく見たら器用に動くのでどうやら飾りではないようだ。
どういう原理で飛んでいるんだろう?
よく見たら後二人か三人くらいの人が彼女と一緒に並んで飛んでいる。
近寄って見に行けば良いじゃないかって?
正直に言おう、僕は飛んだことが無い。
幽霊の癖にって思うけど……、だって怖いじゃないか!!!
なぜだろう……目が合った瞬間その子は、「まずい!!」とでもいう感じで僕から視線をそらした!!
なに、ひょっとして僕は意図的に無視されているのか!?
僕とその子が会うのは、まだ先の話。
プロローグ完
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