4話「採取訓練」
あらすじ
マテリアル採取に必要な武器。
その武器の扱いを覚えなくてはいけないのだが、みんなより少し遅れて武器の扱い方を兄のアルデルから教わるリオン。
説明されてもよく分からないので、結局体を使って覚える事にするのでした。
2
魔界の武器は、我々が知っている武器とは使用が違う。
武器には魔力があり少なからず意志がある。使い手は武器との相性でうまくなるかどうかで決まる。
武器の収納場所は、使用者の周りの空間にしまわれていることが多い。亜空間収納というやつだ。使用者によってはいくつ物武器を持ち歩いている物もいるが、基本的には武器は1人につき1つと決まっている。多くを所持する場合は許可がいるのだ。
意志を持つ武器を扱うには武器とシンクロする必要がある。武器が使えるかどうかはシンクロ出来るかどうかで決まるのだ。
「なんか説明しても分からないみたいだから、とりあえず武器を出してみて。」
額に汗かいて小難しい顔で聞いていたあたしを見て、兄貴はため息混じりに武器を出すように言った。
「武器を出すのね?」
兄貴に促されてあたしは小さく呪文を言う。すると手のひらに小さな丸い黒い結晶体が出現すると見る見るうちに形を変え一振りの黒い鎌が出現した。武器屋で買ったあの黒い鎌だ。
「出したけど、でどうするの?」
「その鎌に意識を集中して」
あたしは言われるまま鎌に意識を集中する。目を閉じて集中すると不思議なことに何か分からないがなんか波?見たいな波紋みたいな物を感じた。それはまるで吹き抜けていく風のようにも感じた。
「あ、なんかある!」
「そ、それ!それに自分の魔力を乗せて!」
「ま、魔力を乗せるって??どうするの??」
「その何かと同じ重なるようにして魔力を乗せるんだ。」
う~ん、よく分からないけどつまり波みたいなものに自分の魔力も一緒にその波と重ねれば言いということなのかな?
するとどうだろう。鎌がまるで心臓を持ったかのように「ドクン!」と鳴り響かせた!それと同時に「ゴウッ!」風が巻き起こる!
「ど、どうなっているの!?」
「大丈夫!シンクロが成功したんだよ!」兄貴が嬉しそうに言う。そうなの?
「そうか、この鎌は風属性なんだね~。リオンとの相性はそこそこかな?」
そうこうしている内に鎌からおきた風は静かになっていった。
「ほへ~」
あたしがビックリしていると、まわりの研修生もビックリしていた。なに?どうしたの?
「これだから、天然は恐ろしいですわ……」
イライザが少しビックリしてそう言った。何が天然だ!失礼な!
皆もザワザワしている。なんなの、一体?
あたしは持っている鎌の具合を確かめながら、少し扱ってみた。なんだかとても軽い。そしてどう扱えばいいのかなんとなく分かってきた。
鎌から時々風を切るような音がする、実際に風が出ているんだと思う。
この鎌は風を操る鎌のようだ。よく見ると黒い刃に今まで見たことなかった物が出ている。刃にほんのりと空気の刃みたいな物が薄っすらとかぶって見える。
切ったら痛そうだ・・・、扱いは注意しないといけない。
「なんか凄くいいみたい!」
「そうみたいだね。」兄貴もなんだか嬉しそうに言う。
イライザがこっちを見ていたのであたしは少し自慢げにこういった。
「イライザはきちんと武器が使えるのかしら?」
あたしがイヤミったらしく言うと、
「あら?魔女の武器は杖に決まっているでしょう?今さらシンクロする必要なんてないわ。まったくそんなことも分からないの?お間抜けさんね~。」
ムカッ!!
「何だと~!!」
「リオン!」
あたしが飛びかかろうとしたら、兄貴が後ろから押さえ込む!
「さすがだな……」
その様子を遠くで見ていたジャンカン先生がぼっそりといった。
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