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あたしは夢を見ていた。
夢?たぶん、夢だ。
だって、目の前にはおいしそうなご馳走があるんだもん。
あたしが今まで食べたいと思っていたご馳走が今目の前にある!
あ、あの有名のシェフが作ったフルコースとか、食べてみたかったスイーツなんかもある~!あそこにあるのは有名デパートに売っているデザートだ!
それが大きなテーブルにたくさん並べられている。
これ全部食べてもいいんだよね?
それじゃ、いただきま~す!
『いけません!お嬢様!!』
「!!?」
『そんな食べ物に執着しているから、全然成長しないのですぞ!?少しは兄上様を見習ったらどうですか!?』
あたしの楽しい食事を邪魔するのは誰!?
後ろを振り返ると、小さな年老いた黒竜範空がいた。
何よ!夢の中にまで出てきてお説教するわけ!?
いいじゃん、食べたって罰は当たらないはずよ~!!?
それにあたしはおなかがすいているのーーー!!!
『だめな物はダメです!!!』
ケチーーー!!!
「おなかがすいたのーーー!!!ご飯食べたいーーー!!!」
病院内であたしの絶叫がこだまする。
「ほへ?」
周りを見ると、ビックリしている入院患者に看護師と医者の先生。そしてイライザとナナオ、隣のベッドで寝ていた兄のアルデル、訓練施設の講師フロン先生とジャンカン先生が見ていた。
そう、ここは病院だった。何であたしここにいるんだろう?
しばらく沈黙……。
「……え~と、おはようございます?」
とりあえず、挨拶してみた。
「ふっ!アハハハハハハッ……!!」
あたしを診察していたであろう、お医者さんが笑い出した。
「――――!!」
は、恥ずかしい――!!!
「これだけ元気なら、もう大丈夫ですね!いや~、流石というしかないですね……。私も滅多にない、いい経験させてもらいました。それじゃ明日には退院できそうですね。しっかり栄養とって休んでください。」
「?」いい経験?どういうことだろう?
先生はそう言って看護師と一緒に病室を出て行った。
「ありがとうございます。」廊下で医者の先生にお礼を言ったのであろう、講師のフロン先生とシャンガン先生が戻ってきた。
「本当にビックリしたわ!あなた達1週間も眠ったままだったのよ?あのブレスレットあなた達には会わないのかしら?」
イライザが心配そうにそういった。
へ?1週間寝ていた……?どういうこと?あたしと兄貴は不思議そうな顔をしてイライザを見た。
「お前達はランニングの途中で倒れたんだよ、あたしたちが見つけて病院に連れて行ったんだ。
あんた達、覚えていないの……?」
ナナオが心配そうな怪訝そうな顔でそういった。
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