3話「基本演習」
あらすじ
リオン達がマラソン2週目をしている頃、時間が過ぎてすでに夜になっていた。
2人の帰りが遅いと心配する講師の2人と研修生の仲間。
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「2人とも帰ってきませんね~」
「そうだな・・・、もう2週目初めて4時間になる。そろそろ帰ってきてもいいはずなのだが・・・?」
2人の講師フロンとジャンカンは、いまだ帰ってこないリオンたちを待っていた。
「先生、私達がリオンたちを探してきます。」
イライザが少し心配そうに言いながらジャンカン達に言った。
「ん?お前達が?」
「うちらも一応ペア組んでますし……、それにもう夜だし探してきます。」
あいつらどこに言ったんだ?ただ施設を1周するだけだろう?それとも何かあったのか・・・?ナナオはそう考えながら講師達に言った。
「そうか、何かあったかもしれないからな。ブレスレットは外しても構わない。」
「ありがとうございます!イライザ様!行きましょう!」
「ええっ!そうね、早く探しましょう!ついでにおなかもすいているだろうし、お弁当も持ってきましょう!」
そういって、ナナオとイライザはジャンカンにブレスレットを外してもらい持ってきた箒に乗って飛んでいった。
「もしかしたら、ダウンしているかもしれないな……」
ナナオとイライザを見送った後、ジャンカンはそういった。
「ダウンですか!?もし、そんなことになっていたら……!」
フロンがあわてた。
ダウンするということは、生命に危機が迫るということ。ダウンとは疲労のこと。そもそも霊体にダウンとはつまり疲労はという物はない。ないというよりは疲労や多少の傷などは、すぐに周りの魔力や霊力を吸収して回復するためダウンすると言うことがないのだ。
人間のようにダウンしたら寝て休むということがほとんどない。霊体にとって寝ると言う行為は一日の出来事の情報を整理するという目的で寝るのだ。
「早く見つかるといいが、俺達はここを放れるわけには行かないし・・・」
「そうですね・・・」
訓練施設を使用している以上職員が持ち場を離れるわけにはいかないのだ。
しっかりあたりは暗くなってきてしまった。
そりゃ帰ってこないよ、だってこんなに重いんだもん!
あたしは重い体を一歩一歩踏みながら前を歩いていた。
あたしの背中にはダウンした兄のアルゼルが背負われている。
今も青い顔をしている。具合が悪そうだ。
「お、重い……」
あたしは具合の悪い兄貴のブレスレットを取ろうと思った。
ブレスレットを外せば少しは楽になるだろうと思ったからだ。あたし達の力をセーブしている訓練用に渡された支給品の緑色のブレスレットを外そうと、いろいろ試みたのだけどこれがなかなか外れない!
どうやら何かキーワード(たぶん解除コード)が必要な構造になっているみたいでしょうがないから兄貴をそのまま背負っていくことにした。
そしたらどうだろう、なんと重さが二倍に!
こ、これはもしかしてブレスレットのせい!?兄貴のブレスレットの効果がそのままあたしにきているのか!?
これはかなりきついです~!
もう、この状態が2時間近く続いているのだ……。いつになったら皆のところへ帰れるのか分からない。辺りもだいぶ暗くなってきた。朝始まった訓練がもう夜になるのだ。お昼何食べたっけ……?いや、食べてない!
そうだ、あたし走りっぱなしだった!今は兄を背負って歩いているけど……。
本当ならお昼ご飯とか食べて、ゆっくりしているはずなのに……他の皆は何しているんだろう?
あたしの頭の中はくだらないことばかり考えて疲れを紛らわしていた。
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