3話「基礎演習」
あらすじ
早速始まった基礎訓練。
でもやっていることはただの体操?
訓練を始める前に、謎の怪しいブレスレットを支給される。
そして講師のジャンカン先生から、人間の体についてちょっとだけ知る事になる。
7
まず最初の訓練が武器の扱い方と、基礎体力作りから始まった。
基本的に、ランニングとか腕立て伏せとか屈伸とかそう言うものをやっている。これって何か意味あるのかな?霊体のあたし達にとってはあまり意味のない運動だ。どちらかというと魔力を強くしたりとか霊体を強化したりするほうが運動ということになりそうな気もするのだけど?
すると先生が、
「そうそう、これを皆に渡してなかった。皆これを付けてくれ。」
そういってブレスレットを持ち出してきた。
それは何の変哲もない緑色の金属製のブレスレットで、それを皆に渡していく。とりあえず、先生の言うとおりあたしは左手に付けてみた。何か意味あるのかな?
「これは魔力と体力をセーブするブレスレットだ。戦闘訓練をする場合は皆必ずつけるように!」
どういう意味なのかさっぱり分からないけど、何か意味があるのだろう。これをつけて再度ランニングをしてみた。
あれ?何かおかしい!?
「!!?」
「こ、これは!!?」
皆もなんか感じたようで・・・
「な、なんか体が鉛が入ったのような感じがする・・・と、とても重い~!」
「う、う、な、何なのこれ!?凄く重い・・・!」
「せ、先生!これはいったい何なのですか!?」
皆が口々に先生に質問をぶつける。そりゃそうだ、何でこんなに体が重いの!?
「これは、人間の体の感覚を再現するアイテムだ。」
「人間?」
「そうだ、これからマテリアルピクターとして赴く場所人間界へいく時に味わう感覚だ。正確に言えば半実体化した場合のときの感覚だ。
マテリアルは半物質、つまりマテリアルを採取するお前達も半実体化する必要がある。このブレスレットは半実体化になれるための装置なのだ。体を動かす戦闘訓練には実にひったりの代物だ。いいか絶対はずすなよ!」
そう言うことなのね・・・、でも何でこんなに重いの?
「お前達が重いと感じているのは、人間の肉体を感じているんだよ」
「人間の肉体?」
「人間は我々と違い、肉体を持っている。物質界で生きていくための鎧みたいな物だ。まぁ、半実体化するためにもいろいろ手順があるのだが、今はその重さに耐える練習をすることだ。」
なるほど、いろんな意味があるのね~。
そんな話を聞いていたらイライザが、
「人間って不便な生き物なのね~、肉体なんて邪魔なだけじゃない。そうは思わない?ナナオ。」
「お嬢様、話聞いていなかったのですか?人間は物質界で生きていくには肉体が必要なのですよ。物質界には魔力も霊力もほとんどないといいます。そんな中で生きていくための鎧みたいなのもなのですよ」
「そんなの知っているわよ、何でそんな不便なところに住んでいるのかって言うのが不思議なのよ」
それは確かに!何でそんなところに住んでいるのかな……?
「こら!お前達、ちゃんと前を向いて走れ!ビリはもう1周走らせるぞ!もちろん、連帯責任だからな!」
そう、今はランニングの最中だった!話をしている場合ではない。連帯責任って言ったら今はペアを組んでいるからもっと大変だ!一人でも遅れると、一緒に居残りでもう1周走らないといけない!
ふと、後ろを見ると兄貴の姿が見えない……。ま、まさか……!
「お、重い……。皆、待って……」
一番後ろで、兄のアルデルが「ゼェゼェ」いいながらヨタヨタと走っていた。
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