3話「基礎演習」
あらすじ
これから本格的な練習が始まるのかと思ったら、訓練用のパートナーの決めはなんとただのくじ引き!
みんなも適当にくじを引いていく。
リオンも張り切って、くじを引くのだった。
このくじを引けば本格的な練習だ!
5
皆先生が手に持っている箱をじっと見ている。
そりゃそうだ、これで仕事のパートナーが決まってしまうのだから!
「みなさん、見てないでさっさと引いてください。」
先生が皆を促す。
なんだっけ、自分は先生やるの初めてですとか言っていた人がなんだかずいぶんと慣れた感じで物事を進めていくんですけど……?
フロン先生……本当は、ベテランなんじゃないんだろうか?
するともう1人の講師が、
「ほら、お前達さっさとしろ!もたもたしているといつまでも訓練が出来ないぞ!」
そんなこといったって、この引きで相手が決まるんだよ!?真剣になるに決まっているじゃん!!
よく見たらイライザも真剣に見ている、もしかして兄貴と組めるかも知れないとか思っているのかな?
「順番に引いてください。その代わり、引いたら紙はまだ見ないでくださいね。」
先生が呼びかける。 まだ見てはダメ?どういうことだろう?
ここは覚悟を決めて引くしかない!
「先生、あたし引いていいです!?」
「ん?リオンさん?いいですよ~。さ、引いてください」
先生はにこやかに笑い箱をあたしの前に出した。
意を決して箱の中に手を突っ込む!
そして思いっきり、紙をつかみ引っこ抜く!
「うりゃ!」
「……、リオンさん、何も掛け声出さなくてもいいのですよ?」
先生がちょっと呆れ顔で言った。
「えへへへへっ」
気合入れすぎたかな?
ちょっと照れたけど、あたしがくじを引いたのと同時に皆も次々にくじを引き始めた。
おいおい、どういうことよ?意気地がない連中め!そんなにくじが怖いのか!?
一通り皆が引きを終わると先生が、
「それでは皆さん、紙を広げて名前の書いてある人とペアを組んでください」
あたしはついさっき自分が箱から引いた小さな紙をそ~と広げてみた。
するとどうだろう、何も書いていない白紙に魔法陣が出現したかと思うと1人の人物の名前が出てきた。
その名前は自分でもよく知っている人物だった。
「リオン」
突然名前を呼ばれて振り向くと、ジャージを着た兄貴がいた。ちなみに青色のジャージ。
「どうやら、パートナーみたいだね・・・?」
「そうみたいね~、まぁしょうがないんじゃないかな・・・?」
紙に書いてあったパートナーの名前は兄貴だった。
まぁ双子だし、ちょっと珍しい所の出だから仕方ないか!
「ま、これからもよろしく~」
「そうだね、この方がよかったかも。借金のこともあるし」
「うっ!!」
兄貴、お願いだからそのことだけは言わないでくれ~!!!
皆、パートナーが決まったみたい。
イライザなんか落胆してる、どうやらパートナーはいつもの通りナナオみたい。それも仕方ないと思う。もともとナナオの家はイライザに仕える家柄だし、あたしのもそうだけどもしかしたらそう言うのも考慮して『くじ』がされているのかな?とちょっと思った。
中には不満だらけの人もいるみたいだけど、先生はそんなの気にしない。
「皆さん、パートナーは決まりましたね!これからマテリアルピクターとして一緒に仕事をする仲間です。仲良くしてくださいね。それでは、訓練を始めましょうかね」
これから本格的な訓練が始まるのだ!
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