2話「武器屋と講師」
あらすじ
念願の武器を手に入れたリオン。少々癖のある武器のようだけど・・・
もうすぐ研修が始まるのだけど、緊張して眠れない。
7
あたしは手の中にある黒い鎌の感触を確かめた。
「どうだ……、ビリビリしたり、熱かったりしないか?」
店長さんが心配そうに聞いてくる。
「全然平気、何にもないよ。」
そう答えると、
「そうか!よかった~!!」
ほっとしたような顔・・・、なに、今までこの鎌を持った人は皆そんな風になったわけ?
あたしはじと目で店長さんを見た!
「もしかして、この鎌持てなくて怪我した人が何人もいるとか……?」
「アハハハハハハッ!!!!」
「……」
ふっ、笑ってごまかしやがった!兄貴もあきれてる……。
買い物が終わって店を出ようとした時、
「お前ら、何かあったらまた来いよ!ここじゃ武器の修理なんかもやっているし、魔力チャージもやっているからいつでも来いよ~!研修が始まったら相談にも乗ってやるよ!」
「ありがとう!店長さん、それじゃまたね!!」
そういって、あたし達は店を出たのだった。
家に帰って自分の部屋に戻り、買ってきたばかりの武器を取り出してみる。
神秘的な黒い鎌だ!うっとりしながら見てると、
「にゃ~」
頭上から、猫の鳴き声。
「あっ!ごめんごめん!もう、髪留めしなくていいよ。」
あたしがそう言うと、
束ねていたツインテールが解き、猫の形をしていた2つの髪留めが見る見る本物の黒猫になっていく。
「にゃ~!!」
二匹の黒猫はあたしに飛びついて、ぺろぺろと顔を舐め始めた。くすぐったい。
「わかったわかった、ご飯が食べたいんだよね?
今もって来るね!兄さん、クロたちがご飯食べたいって!」
あたしがそう言うと、
「何!?ご飯だと!!
待ってろ!今すぐ持ってくる!!!」
言うが早いか、兄はすぐにクロたちのエサを持ってきてご飯をあげている。
「そうか~、うまいか~」
「にゃ~!、にゃ~!」
二匹はおいしそうにご飯を食べている。
兄貴の頬が緩んでいる、相変わらずかわいいものが好きだな~。
兄のアルデルは、小さくてかわいい生き物が好きだ。この2匹の黒猫もアルデルが拾ってきたのだ。
最初は家で飼うの反対されたけど、今は我が家のかわいいペットだ。そして現在はあたしの髪留めにもなってもらっている。ちなみに黄色い瞳の方がクロで緑の瞳の方はネロだ。
ちなみになんていう種類の猫かはあたしは知らない。
だって、野良猫なんだもん。
「クロを持って言っていいか?」
兄貴が何故か、おそるおそる聞いてくる。
「いいよ?」
また一緒に寝るつもりかな?いつものことだけど、でも何であたしに聞くんだろう?
兄は嬉しそうにクロをギュッと抱いて自分の寝室へと戻っていった。
兄の部屋のほうで「にゃ~にゃ~」というクロの嬉しそうな鳴き声が聞こえてくる。遊んでいるんだろうか?
さて、あたしは眠いので寝るとするか!
「ネロ、一緒に寝よ~」
「にゃ~」
ネロはあたしのそばに近寄ってきて、ベッドの上にのぼった。
擦り寄ってきた小さなネロの頭をなでつつ、あたしはこれから会うであろう講師の先生を思い浮かべた。
講師ってどんな人だろう?いい人だったらいいな~。そう思いながらあたしは眠りについた。
2話-6へ
2話-8へ
目次へ
PR
この記事へのコメント