2話「武器屋と講師」
あらすじ
センター指定の武器屋へ入ったリオン達、そこで店長から初めて「マテリアルピクター」の試験の本当のことを知ることになる。
自分の住んでいる世界と人間達の住んでいる世界の違いを少し知るのでした。
3
「あの、すみません。俺達まだマテリアルピクターになっていないんですけど……」
兄が遠慮がちに言った。
悔しいが事実だ!なんてったって研修すらまだ受けていないペーペーだ!
「なんだ?お前達、知らないのか?」
おじさんは、不思議そうな顔をした。
「え?何が知らないって……?」
「お前達は最初の試験で合格したんだろう?カードを見せてみろ」
そういわれたので、あたしと兄貴は自分達が持っている認証カードを見せた。
「ふむ、やっぱりなっているじゃないか。」
「え?どういうこと……?」
「ほらここに書いてあるだろう?」
おじさんがカードのある一部を指さした方を見るとなにやら文字が見える……。
あれ?
ネーム:リオン・ハーティア・ネス 性別:女 種族:半黒竜
マテリアルピクター研修生番号:AA101-6508712-HK49022-RG3409
資格:第1次国立職員合格
※研修終了後正式なマテリアルピクターとして採用
な、何か別の文字が出てる……。
研修終了後、マテリアルピクター採用って……!?どういうこと!!!???
「筆記試験、覚えているか?」
「筆記試験……」
そういえば、ちょっと変だったような気が……。
あたしが思い出していると店長が、
「あの試験が始まったときからマテリアルピクターの適正テストが始まっていたんだよ」
「適正テスト?」
すると、兄貴が聞き返した。
「適正テストってどういうことですか?」
「あの試験で使われたペン、覚えているか?」
「ペンって・・・たしか、よく分からないけど何故か向こうの指定で渡された筆記ペンのことですよね?あれで答案を書いてくださいって言われて使ったけど……」
あたしが思い出しながらそう言うと、
「試験が終わった後どうだった?」
店長に言われて、試験のときのことを思い出してみた。
「う~ん、どうだったって言われても・・・、あぁ、そういえば試験が終わって具合悪くなる人が出てなかったっけ?中には担架に乗せられて運ばれていった子もいたような……!」
「そう、それだ!」と、店長さんは言った。
「え!?」
あたしと兄貴は同時に聞き返した。
「どういうことですか?」なんか、ハモってる……。
すると店長さんは説明してくれた。
つまり、あの試験で使われたペンには魔力を吸収する道具でまずそれにクリアしなければならない。もちろん、筆記試験でもきちんと成績を取らないとだけだけど。そのあとも適正テストは続いていて、あのペンには持続性の呪いみたいな効果があって、試験終了から1週間後合格発表、卒業式がその1週間後にあってさらに2週間後の説明会の日、つまり4週間魔力減少に持ちこたえられなかった者は失格と言うことらしい。あの時点ですでに第2試験みたいなのが行われていのだ!第1試験はもちろん筆記試験だけど……。
そういえば、説明会場に来ていた人たちは試験を受けたときよりも格段に少なかった……。説明会に来た時点で魔力吸収効果は解除されるのだけど、そもそも魔力とはあたし達にとって生命力みたいなもの……何でこんな危険なことをするのか……?
それは、これから毎回行くことになるであろう物質界に関係がある。物質界、つまり人間界にはもともと魔力や霊力が少ないのだ。そこで活動するには魔力減少に耐えられないといけない。世界自体に魔力や霊力が少ないわけだから魔力補給もままら無い、持ってきた薬や錠剤で凌ぐしかないのだ。とはいえ人間界の滞在期間は大体1週間程度。でもその一週間で何が起こるかはわからない、だから試験で4週間も耐える試験を行うと言うことになったのだ。何かあったとき長期滞在もありうると言うこともあるわけでそのための適正テストらしい。
そっか……、人間界は魔力や霊力があまりない世界なのか……。人間側から例えると、酸素のない海底に飛び込んで行くとか宇宙の真空状態の中に放り込まれるような感じだろうか?
なんかちょっと、怖くなった……。
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