マテリアルピクター8話「水中回廊」13
あらすじ
なんとかモンスターを回避しながらフロアを進むリオン達。
進むに連れてフロアが狭くなっていくような?
ますますモンスターの回避が難しくなっていくのだが……。
13
うむ、こんな所でもたもたしている暇はない!
『早く次のルートへ行きましょう!』
『次のルートって言ってもな…、どうやってモンスターを避けながら移動するかが問題だ』
う~~~っ。
そうなのだ、ルートが分かっていてもモンスターが道をふさぐ!これが最大の時間のロスを招く問題なのだ。
『どうにかならないの~?』
『どうにもならん!』
腕を組んでクオンがきっぱりと否定する。
その様子を見ていたアルデルがあたしに近寄ってきた。
『最近、クオンと仲がいいね』
『そ、そう?』
『うん……』
そういってあたしの顔をジーと見る。な、何かな………?
『アルデル、ひょっとしてかわいい妹が気になるのか?』
と、クオンがクスクスと苦笑いしながら兄に訊いてくる。
『ち、違うよ!最近凄く元気になったから、もう大丈夫なのかな………と、お、思って…』
何故か顔を赤らめ言い訳をするのだが、最後のほうは声も小さくなって何を言っているのかわからない。
やり取りを見ていたユーディリーがニッコリ微笑みながら、
『アルデルはリオンを大事にしているのね。クオンと仲がいいから焼もちでも妬いたのかしら?』
というので、『そ、そんな訳は………』と言い訳をするのだけど兄はますます顔を赤くし最後は黙ってしまった。
何をしているのやら…。
どうやらクオンは、兄をからかって遊んでいるようだ。
『とにかく、どうやって次のルートを攻略すれば良いのか考えないといけないでしょう?何か案はないの?』
というあたしの意見に対し、クオンは一言。
『そういえば、お前はどんな攻略を考えているんだ?教えてくれよ』
『え!?あ、あたし!?』
『そうそう』
いきなり話題をこっちに降ってきた!攻略なんて考えてない…。
しかもクオンは、こっちを見てニヤニヤしながら笑っていやがる。
すべての攻略は、アルデルとクオンが立てた作戦で移動していたからだ。
それにブヨブヨモンスターも戦わずに来れたのも二人の作戦のおかげだ。
あたしは焦った!
作戦なんて考えたこともない。というか、そんな事もやったことないしどうしたいいのかオロオロしていたら…。
『次はモンスター倒しながら行こうぜ!』
と、突然フィフロスが言い出した!
助け舟…!?というような意見では無いようで………。
『はぁ?』
フィフロスの発した発言に全員沈黙!
何言っているんだお前的な雰囲気があたりに充満する。
『最初の大ナメクジはちょっと効いたけど、その後のモンスターは空飛ぶスライムやらクラゲやら、プランクトンみたいな物や海蛇みたいな物と結構まともなやつだったじゃないか。サイズもだんだん小さくなってきてるし、あれなら誰でも倒せると思うぜ?』
あんた、この作戦聞いてましたか?
『あのね~、なるべくモンスターを倒さず危険を起こさずに慎重に行動しようって皆で決めたでしょう!体力をなるべく使わないようにって言った筈でしょう!?何でそこでモンスターを倒さないといけないの!?』
あたしがため息混じりに文句を言う。
『こそこそ隠れるのは、好きじゃね!』
『そう言うの事は、大ナメクジの時に言って欲しいね…』
『うっ!!』
クオンがすかさず突っ込みを入れる。
確かに!そう言う事は一番最初に言ってもらいたいですね。
痛い所を突っ込まれたのか、ガクッとうなだれてフィフロスは意見を言うのをやめた。
今までの行いが悪かったのか、彼の意見はあっさりと却下されたのだった。
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