マテリアルピクター8話「水中回廊」6
あらすじ
渦巻き結界の中になんとか入ったリオン達。
どうやら中は迷宮のようで、道に迷うんじゃないかと不安になっていると兄のアルデルが小さな手帳サイズのパソコンを取り出す。
母からのお祝いとして貰った様で…。
不満はあるがそれで外と連絡が取れるのではないかと考えるのだった。
6
魔道式小型手帳にはもちろん、標準機能としてメールや通話等の通信機能がついている。しかも最新版だから通信機能も優れた物に決まっている。
『確かにそれを使えば先生達と連絡が取れるかもしれないわね!』
ユーディリーも手帳を見ながらそう言った。
『それじゃ、先生達とも連絡できるんだ!だったら早く連絡とろうよ!』
クラウンも嬉しそうに言う。そりゃ、今まで何日も連絡せずにここまで来たのだから不安にもなる。連絡手段が出来たのは嬉しいに決まっている。
『とっとと連絡したほうがいいと思うぜ』
クオンがアルデルに連絡を取るよう促す。小型手帳コンピューターは兄貴の物なので、さすがに人様の物をいじるような事はしないみたい。それに本人しか使えないしね。
『それじゃ、連絡してみるよ?』
そう言って兄のアルデルは、通信機能を使ってフロン先生に連絡をしてみる事にした。
ピピピッ・・・
機械的な電子音が小さく鳴り響く。
するとどうだろう?「ん?誰ですか?」と懐かしい?フロン先生の声が聞こえてきたのだった!
『すげー!繋がったよ!やっぱ、最新版は違うな!!』
フィフロスが嬉しそうに言う。通信が可能になった事で、皆安堵の表情が見て取れる。
『最新版じゃなくて、コンピューターのおかげだろう?』
すかざす突込みを入れるクオン。でもなんだか嬉しそう。
「もしかして連絡してきたのは、アルデル君達ですか?なんか皆くぐもった感じの声が聞こえるんですけど…」
フロン先生の困った感じの声が聞こえてくる。
ナント!先生と通信することが出来たのだ!!
『あっ、すみません!連絡が遅くなって申し訳ありません。今俺たちはイライザとナナオが行方不明になった滝のある場所に来ているんです。』
兄のアルデルが慌てて現在の状況をフロン先生に話した。
「そうなんですか!?それにしても皆無事なようでよかったです!もし連絡がなかったら、こちらも新に捜索隊を作らないといけない所でしたよ。ですがまだ良い状況のようではないみたいですね?ところでどうやって通信しているんです?身分証明証の通信機能では通信できないと思っていたのですが………?」
捜索隊って……、あたし達まで行方不明扱いになるところだったのか!
『アルデルが小型手帳コンピューターを持っていたんですよ。それで俺達通信しているんです』
クオンが手帳を覗き込んでフロン先生に話した。この小型コンピューターは通信している相手も映してくれる。
「そんな物を持っていたのか!随分高い代物だと思うけど………、でもこれならいつでも連絡が出来るね!それじゃ、現在の状況を細かく説明してくれないだろうか?」
先生は兄貴がそんな物持っていることに驚いていたけど、すぐに真顔に戻って兄貴から今までの経緯と現在あたし達が置かれている状況を聞いていた。
『そう言うわけなので、今俺達は2人の生命反応を追って移動しているんです』
と、兄貴が言うのだが当の先生はというと
「なるほど、他から魔力を吸収して成長しているのか………。もしかすると、新たな属性のマテリアルかも知れないな………。ふむ。実に興味深い!」
など全然違う事を考えている。
『あの…先生?』
兄貴が戸惑っている。
これからどうしようかって時に、マテリアルのことを考えているみたいで。
『先生、違う事考えているな』
『そうね………』
相変わらず、先生はマテリアルの事しか考えていない様子の先生を見て、あたしとクオンはちょっと呆れるのだった。
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