マテリアルピクター8話「水中回廊」3
あらすじ
結界の中にまた結界。
その結界【渦巻き結界】(命名)の中に何とか入ったリオン達。
中はすごい真っ暗で、その上自分たちは水の中に入っていたのだった。
※震災から1年が経ちましたね。これ以上大きな地震は起きてほしくないものです。
3
渦巻き結界にやっと中に入れる入り口が出来上がった。
別に攻撃魔法とかで、ぶっ飛ばさなくても良かったようだ。
「入り口はもって5分程度しか持たないから、皆すぐに中に入って!」
などと兄のアルデルが、とんでもない事を言う。
「え!?5分しか持たないの!?」
「渦巻き結界の中を調べる時間もないのか?」
あたしとフィフロスがビックリして訊き返した。
この濃度の濃い水の結界を通称『渦巻き結界』と命名。
だって何て言ったらいいのか分からないんだもん。
まぁそんな事はおいといて、この渦巻き結界濃度が濃いのか中の様子は暗くてよく見えないのだ。つまりとても危険という事。その中をいきなり飛び込めと言うのだから、ちょっとビビッてしまうではないか!
「時間がないんだ!早く!」
兄のアルデルがせかす。こうなったら仕方がない!
「え~い!一番乗りしてやる!!」
よく分からない覚悟で、あたしは渦巻き結界の中に飛び込んだ。
ボゴボゴボゴボゴボゴッ!!!
「!!!?」
飛び込んだ先は、水の中!!
み、水!?本物の水!!!?
お、溺れる~~~!!?
あたしは、手足をバタバタとするしかない。
『リオン!!!』
兄のアルデルが手を伸ばしてきた。
必死にもがくあたし。
すると兄貴の隣にユーディリーが来て、そっとあたしに触れる。
そして小さく何かをつぶやいた。
『リオン、もう大丈夫よ。息が出来るから。ゆっくり吸い込んで……』
『!?』
息が出来る!?どういう事?
『リオン、大丈夫。ほら、俺も平気だろう?』
確かに、兄貴も普通に水の中でしゃべっている…って、しゃべってる!?
『ど、どういう事!?』
ボゴッ!!
声を出したとたんに、空気の泡があたしの口から出て行く。
『!!!』
思わず自分の口を両手でふさいだ。
いきなりしゃべって物だからビックリしてしまった。と言うか、今あたしもしゃべった!?
するとユーディリーが
『大丈夫よ、【水中呼吸】の魔法を掛けてあるから息が出来るのよ』
ユーディリーが優しい顔で、パニック状態のあたしをなだめる。
『ユーディリー、こいつは始めてづくしなんだからしょうがないよ』
と後からクオンがちょっと足をバタつかせてやってくる。
『あら?でも、アルデルは普通にしているわよ?』
『こいつは、魔法の知識もあるし今掛けている魔法との相性もいいからすぐ慣れたんだよ』
『そうなの?』
などとあたしのパニックなどお構いなしに、ユーディリーとクオンは話し始めた。
『リオン、もう慣れてきただろう?』
兄のアルデルが訊いてくる。
『う、うん………。なんかちょっと変な感じ………』
だいぶ落ち着いてきたあたし。
じっくりと中の様子を見てみる。
『ここって、さっきの結界の中よね………?』
『そうだよ。』
『これって、どこかの建造物にしか見えないんだけど…』
『そうだね、たぶん魔力を使って構成しているんだよ思う』
『魔力だけでこんなもんのが造れるんだ…』
渦巻き結界の中は、神殿を思わせるような不思議なつくりをした人工物で構成されていた。それは水のマテリアルが作り出した巨大な迷路だった。あたし達はその巨大な迷路の中に投げ込まれていたのだった。
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