マテリアルピクタ―8話「水中回廊」2
あらすじ
水のマテリアルが張った水の森の結界の中にさらに小さな結界が!
しかもその結界はさらに強力な力で作られているようで………。
どうやって中に入ろうかとリオン達は、あれこれ考えるのだった。
2
あたし達の前に巨大な丸い形状の結界がある中には大きな渦が中心に渦巻いている。どうやら結界を中和して入るというのは無理なようで、力ずくではいるしかないのか……。
「何の魔法でこれに穴を開ける?」
クオンが皆に聞いてきた。
「ん?魔法で開けるのか?」とフィフロス。
「他に何があるんだよ…」
クオンがあきれた顔でフィフロスに言う。結界を開けるのに魔法以外に何があるというのだ?
「あんたね、もしかしてぶん殴って穴を開けようとか思っていたわけ?」
あたしがそう言うとやつは真面目そうな顔で
「なんだ?違うのか?ちょっと力を入れれば開くんじゃないのか?」
「………」
どうやら本人は真面目に考えていたようで……。
「お前もリオンと一緒か?」
クオンがあたしとフィフロスを見比べてそう言った。
「ちょっとそれどういう意味!?」
「別に~」
「う~~~っ」
妙に腹が立つ~!!すると、フィフロスが、
「俺はリオンとは違うぞ!リオンは魔法はからっきしだが、俺は魔法に詳しい!」
「それは、結界を殴ると言った人のセリフではないと思うんだけど…?」
フィフロスのよく分からん自慢に、クラウンが口に人差し指を立てて不思議そう首をかしげ突っ込みを入れる。
「あたしは、ぶん殴ろうか思っているこいつとは違うわよ!」
「ほう?どう違うんだ?」
クオンがあたしに聞き返してきた。
「うっ!!!そ、それは……ほら……え~と、何だっけ?ちょっと待ってよ!今言い考えがあるんだから!」
そういいつつ、結界に穴を開ける方法なんて考えてない!
必死に考えるあたし。でも何か引っかかった。そう、つい最近そう言った魔法を見たような気がする。魔法を打ち消す魔法だ。どこで見たかな……?
「う~ん……」
「なんだ、何も思いつかないのかよ」
クオンはニヤニヤしながらあたしの様子を見る。おのれ・・・、もうすぐ良い案が思い付くはず……!
「魔術で『消去』や『中和』魔法があるんだけど、使えないかな?」
と、兄のアルデルがユーディリーに向かってそう提言した。
「魔術にもや『中和』魔法があるの?」
「ええ」
中和魔法!それだ!!つい数日前に、妖鳥族の子が放った竜巻を兄貴が使用し消した魔法!
「そう、そうの魔法よ『中和』魔法!!」
あたしは兄貴を指差して言った。兄も突然言われてビックリしている。
「それは、アルデルの提案だろう?お前のじゃないじゃん」
「あたしもそれを言おうと思ったの!!」
「はいはい、そう言う事にしておいてやるよ」
クオンはまだニヤついている。
ムカ~!!
「本当に思いついたのよ!!」
「分かったよ」
あたしが食って掛かると、クオンはさすがに付き合うのが面倒にあなったのかあきれた顔で生返事をする。そんなあたし達のやり取りをほぼ無視して、兄のアルデルとユーディリーは早速『中和』魔法を使って結界に穴を開けようとしている。
「それじゃ、魔法を掛けるよ」
「ええ、やってみて」
ユーディリーの隣で、兄貴がどうやら『中和』の魔法を掛け様としている。
「あっ!もう魔法を掛けようとしている!」
「ホントだ!魔族の魔法か~、よく見ておかないとな!!」
あたしとクオンは2人に近づいて2人の様子を見る。あたし達の後ろには、フィフロスとクラウンもその様子を見ている。
「なんで『消去』魔法をを使わないんだろう?そっちの方が結界すべて消す事ができると思うんだけどな……」
あたしが疑問に思うとクオンが自分の考えを述べる。
「たぶん、『消去』は一発で効くと思うけど効果がなかったら魔力の無駄になると思ったんじゃないのかな?それにこの結果はでかいし、強度も高そうだしな」
「なるほどね~」
「おっ!どうやら成功したみたいだな!」
「ホントだ」
渦巻き結界に人一人くらいが入れそうな丸い穴がゆっくりと出現した。
「魔族の魔法って面白いな。大気中の霊子エネルギーを操作して、さまざまなエネルギーに変換して術として発動しているのか……」
その光景を見ていたクオンが感心する。後半、何言っているのかよく分からなかったけど。
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