マテリアルピクター7話「妖精と精霊」9
あらすじ
森の中は結構深く、目的の場所まで付くのにはだいぶ時間が掛かりそうだった。
そしてあっという間に日が暮れるのだけど、見た目景色があまり変わらないので本当に日が暮れたのかよくわからない。
リオン達は、この不思議な空間でキャンプを張ることになった。
※久しぶりに更新です。またゆっくりやっていくつもりです(*^-^*)
9
なんとこの水の結界の中で、あたしはキャンプを貼る羽目に!
相変わらず森の中は明るく、変化がないので日が暮れているのかよくわからない。
まぁ、食べ物などはフィフロスとクオンの持ってきた食材で何とかなりそうな気がするけど……。
肝心の目的のイライザとナナオがいる滝までは実際かなりの距離があることが分かった。
「上空から行くには無理ね、完全に結界はこの施設のドームの天井のところまであるから……。徒歩で行くとなると3日くらいかかりそう」と地図を見ながらユーディリーがそう答える。
「み、3日!?そんなにかかるの?」
「『早足』の魔法を使えば、2日で行けるよ!」クラウンが嬉しそうに言う。
その魔法を早く掛けてくれればもっと早く着くんだけどね……、とほほ……。
今あたしは、ユーディリーが作った草の家にいる。
これも精霊魔法の一種。『森の家』と言う魔法らしい。そこらにあるものなら、簡単な家や服などを作るを作る事ができるらしい。ちなみにこの魔法は森の中でないと使う事はできないらしいけど・・・、便利だ!そこらのキャンプセットよりも豪華である!
部屋も一個一個個別にあり、全部で4部屋の個室がある。中のものも簡単なベッドやテーブル、椅子などがある。全部木と草で出来ているんだけど、ふかふかして気持ちがいい。しかもこの家、耐久力もありしかも効果は丸一日。周りは頑丈な木で出来ていてまるで小さなコテージみたい。術者の実力しだいで部屋数や家の耐久度、出現時間も上がるらしい。
「このベッド、ふかふかだ~」
「ユーディリーのベッドは気持ちがいいんだよ~」
などと、クラウンと一緒にゴロゴロしているあたし。
「そういえば、不思議に思ったんだけど精霊魔法って、精霊がいないと術が発動しないんだよね?何で魔法が掛けられるの?」
素朴な疑問。精霊はこの世界から消えたと教えられたのに、その力を使う妖精族や精霊が魔法を使うのが不思議だった。
「別に精霊すべてが消えたわけじゃないわ。すべての精霊が精霊界にいるわけではないし、中には実体化するほど力がないだけの精霊もいるわけで・・・。それにあたし達、妖精族にも精霊力はあるからそれを利用しているの」
「へ~、って妖精族も精霊力があるの!?」
「あるわよ?あたし達の祖先は精霊に近い存在だから……、でもその間に妖精族は物質界と行き来したせいか、少しずつ霊体が変化してきたの。物質よりになってきたといったほうがいいのかな?そう言った一部の者達が次第に精霊界を離れ、自分達にあった環境を作り上げたのが妖精界と言われているわ。だから私達がそれぞれ属性を持っているのはご先祖様の特徴を強く持っているためよ。その属性そのものが精霊力といってもいいわね」
そうユーディリーが答えてくれた。
「じゃ、妖精族の近くにいるとやっぱり環境とか変わったりするわけ?」
「どうなのかしら?あたしにはよく分からないわね……?」
後で聞いた話なのだが、やはり影響力はあるようでユーディリー達の住んでいる妖精の里は非常に豊かな自然があり近くの町や村ではかなりの恩恵を受けているらしい。
それを聞いて、上の連中つまり政府が隠したがるのがよく分かるような気がした。それと同時に自分が回りに与える影響なんて、案外自分ではわからない物だと言うのもよく分かった。
あたしらがそんな事を話していたとき、男共の部屋では……。
「……」
「……」
「……」
男部屋では、ミョーな空気が漂っていた。
「お前さ、ひょっとしてあがり症?」
クオンがアルデルの顔を覗き込んだ。
そう言われたアルデルは何故か正座をして俯いている。
「こいつ、すげー真っ赤な顔してるぞ!?」
とフィフロスが言う。
「うっ……」
「お前、その顔でその性格だとすげー舐められているんじゃないのか?」
「妹の前では、平気そうな顔してたのにな~。もしかして……スコンか??」
「ち、違います!!」
思いっきり否定しようとして顔を上げると
「良し、俺らがお前を『男』として鍛えてやるぜ!!なぁ、クオン!!」
「おう、これから楽しみだぜ!!」
「え~~~っ!!?」
ど、どうしよう……。
新しいおもちゃを見つけたみたいに喜ぶ、クオンとフィフロスを見て先のことを考えると落ち込んでしまうアルデルだった。
7話-8へ
7話-10へ
目次へPR
この記事へのコメント