マテリアルピクター7話「妖精と精霊」7
あらすじ
全ては皆繋がっていると言うクオンの話。過剰に増幅した自然エネルギーを放置すれば様々な世界に悪影響を与える。便利だけど危険な自然エネルギーをコントロールするのがマテリアルピクターの仕事だという。
とは言え、のん気にそんな事言われてもね…。
緊張感があんまりないクオンたちだった。
7
彼らとしゃべっていくうちに一つだけ分かった事がある。
彼らは非常にのん気だ。そしてちょっとのんびりしている。
これはどうも長命種の特徴のようだ。
ちょっとだけ兄のアルデルもその気がある。
そういえば、お母さんもこんな感じでのんびりだったな。おじさんもやはりこんな感じだっけ……。あたしもいつかはこうなるのだろうか?そうなる時期が来るのかどうかも分からないけど・・・。でも今の状況を見ると、全体的に『緊張感』がない!あたし達はイライザとナナオを助けに行っているんだぞ!?
なのに、みんなぺちゃくちゃとしゃべっているのだった……。
「それでさ、その近所にいた木こりのやつがさ。間違って隣の家の霊木を切っちまって!」とフィフロス。
「え~、それでどうしたの?怒られたの!?」とクラウン。
「それが切ったとたん、魔物になっちまって家がめちゃくちゃに破壊されてさ」とフィフロスが言うと、
「霊木なんか切るからいけないんだよ。しかもよそ様の家の木を切るとはね~。で、破壊された家って木こりのやつの家それとも隣の家?」クオンがあきれた顔で聞きつつ疑問を言う。
「破壊されたのは隣の家」と笑いながら言うフィフロス。
「マジか!?」クオンがそう聞き返す。
こんな感じの会話を永遠と行っているのだ。
まぁ、魔物が出るわけでもないし、黙っていても面白くもないし仕方ないけどね……。
「そういえば、リオンは何の種族なんだ?」
「え?」
突然、ユーディリーに質問されてビックリするあたし。
「あ、あたし?」
「そう、凄く変わっている容姿だなと思って。悪魔族ではないようだし、飛妖族でもないようだし。何の種族だ?そういえば、お前の兄とは随分容姿が違うな。あぁ、目とかは良く似ているけど」
「う、え~と……」
あたしはどうしたものかと悩む。
はっきり言うと、あんまり自分のことは言いたくないのだ。
あたしの頭の中で『半端者』とか、『半人前』とかそう言った言葉は浮かび上がる。
「え~と……」
あたしがどうしようか悩んでいると、兄のアルデルが代わりに言ってくれた。
「俺たちは竜族です。大きく分けると黒竜族と言う種族になりますが……」
と言った。
するとみんなビックリしたようにこっちを見る。
「ど、どうしたんです?」兄が戸惑った顔をする。あたしもよく分からない。何かいけないことでもしたのかな……?
「そうか、そう言う事か。なるほどな……。だからか……。」
クオンがなにやら納得したかのように、うんうん言ってる。こら、勝手に納得するんじゃない!こっちはちっとも分からないのに!!
「先生が私達だけでやれと言う理由が分かったよ。みんな、先を急ごう!」
「そうだな!急ごう!」
などと、突然みなさんやる気を出し始めたんですが……?
「ど、どういうこと……?」
「さぁ……?」
あたしと兄貴は首を傾げるばかりだった。
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