マテリアルピクター7話「妖精と精霊」3

あらすじ
どうやらクオンがかけた術には制限時間があるらしく、早くしないとリオンだけが結界の外で留守番と言う事に!?
慌てて結界の中入ってビックリ!
そこはまるで水の中にいるような錯覚を起こすような変な空間とかしていた!

3
今外は夜の世界のはずなのにここはとても明るかった。
あたしのいるこの場所、水の結界の中は地上と海の生き物がゴチャゴチャいる空間だった。彼らはどうやって生きているのかよく分からない。この空間の中はやたら滅多ら湿度の高い空間と言うだけで、普通に地上の生き物も生きていける。とはいえ、ずーとこの状態はあまりよくないらしいので早く取り除いたほうがいいと言っていたけど。なんだかますますよく分からないのですけど?
しかもこの泳いでいる魚や水の中?を漂う海草などはすべて幻覚だというのだ!
「でもこれ、つかめるよ?これが幻覚な訳?」
「そう、それは幻覚」
う~ん、この魚や海草が幻覚……。
ユーディリー達が言うのだから間違いないのだろう?じゃ、何で触れるの?あたしが不思議そうな顔をして首をかしげていたからなのか、ユーディリーが答えてくれた。
「これは水のマテリアルの記憶が作り出している幻覚なの」
「記憶?」
「そう、記憶。失われた物の記憶……。自分の居た場所、自分が存在していた世界の記憶。自分自身の形。そう言った記憶がこうして実体を持った幻覚として出ているだけ」
「じゃ、あのマテリアルは水と言うよりは海のマテリアルってことなのかな?」
あたしがそう言うとユーディリーは、ニッコリ笑って説明してくれた。
「そうかもね。『水』と『海』ってほとんどの人は一緒の物だと考える人が多いけど、役割としてはだいぶ違うのよ。基本的なものは同じかも知れないけど、細分化されていくとまったく違う物がたくさんあるの。みんなは『水』は基礎的な元素魔法の一つとして考えているけど、我々にとって『水』にはさまざまな意味をもっている物として考えている。形にとらわれないとか命の源とか知性の象徴よく言うけど、そう言うものではないと考えているわ」
「そ、そうなの?」
なんか難しい話になってきたような……?
「ユーディリーさん、難しい話は後にして水のマテリアルの所に行きましょう!」
兄貴があたしの様子(たぶん、?マークをいっぱい出して額に汗びっしょり掻いているあたし・・・)を見てフォローを入れる。
「そうね、じゃ、移動しながら話しましょうか?」
え!?話すの?
「ある程度の知識がないとこの先大変だと思うから、少しマテリアルと精霊のことを理解する必要があるわ」
ユーディリーは、まじめな顔をしてそう言った。
「今まで習った事ではダメなの?」
「あれは、マテリアルに対しての話でしょう?これからあたし達が向かうところはマテリアルではないわ。」
「え?どういうこと?」
「この事件を起こしているのは誰?」
「この事件を起こしている者……」
そう、それはあの人魚の姿をしたやつ。マテリアルの中にいる物……つまり『精霊』だ。
イライザとナナオを取り込んでこの森の滝の中に潜んでいる。
「あなた達の話からすると、『海の精霊』がここに入るみたいね」
「う、海?海の精霊?」
「そうよ、海の精霊はそこらの水の精霊よりも力が強いから注意が必要ね」
ユーディリーは腕を組んで考え込んだ。
「海の精霊って……、水の精霊って一種類だけじゃないの?」
「何を言っているの?世界にたくさんの物質、空間が存在するのよ?精霊もその分種類もたくさんいるに決まっているじゃない。マテリアルにたくさんの種類があるのだからその元になる精霊がたくさんいるのは当たり前でしょう?」
ユーディリーは驚いて不思議そうな顔をした。
あたしはビックリした。
というか、精霊って『火』『水』『風』『土』『闇』『光』とかそのくらいしかいないのかな~っ?とか思っていた。そうだよね、よく考えればマテリアルには、『霧』に『雲』とか『木』に『雷』とか『川』に『熱』とかさまざまな種類が存在していた。確かに実施訓練のときに回収したマテリアルを鑑定するとそう表示される物が出ていた。なんというか、勉強不足?
二人を助けるには、精霊に関する知識も必要みたい。
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