結晶採取師~マテリアルピクター
第7話「妖精と精霊」
新しい仲間?
あらすじ
水のマテリアルに捕まった、イライザとナナオを救出するため水の結界の中に入るリオン達。
マテリアルピクターになるための研修だったはずが、今度は冒険?
新しく仲間になった妖精族のユーディリー、クオン、フィフロス、クラウンの4人組と一緒に行動するのであった!
※7話始まりました!
また気長にやります^^
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結晶採取師『マテリアルピクター』は、自然エネルギー結晶体『マテリアル』を採取する専門職業である。主に魔族がその仕事をしている。でも本来は精霊との中間関係にある妖精族が行っていた事だ。マテリアルも本来は、精霊達の自身の発するエネルギーであって物質化などすることもなかった。エネルギーそのものは循環性があって消費されても元に戻ろうとする性質があり、永久的になくなるなどという事はないのだ。
なぜならそのエネルギーは我々人間や世界を構成する、火、水、風、土、光、闇、鉄、魂、精神など言ったさまざまな要素を持ったもので構成されているからだ。それらは物質界では別の姿となって形作られている。それらの力は固形の形を取っていたり、元素と言った形で出現したりしていた。だが、発生元であるそれぞれの元素をまとめていた精霊界が原因不明で消失したうえ、精霊界と密接な関係にある妖精界も消失、その結果すべてのエネルギーが不安定になり循環するはずだったエネルギーは半物質とかして留まり、実体化したり災害を引き起こす災いの種と化すようになった。
人間界ではこの現象を『自然災害』と呼ぶ。
そしてマテリアルが引き起こす災いが今この訓練所で形となって現れたのだった。
あたしの目の前には数キロに及ぶであろう巨大な水の結界の壁が存在していた。
不思議なことに水の結界の中にいる生き物は普通に生活?というか、水の中では陸上の生物は呼吸が出来ないと聞いているけど、何故か生きている……。え~と、この中では呼吸が出来るわけ??よく分からん?
しかも、その陸上の生物以外に何故か魚が気持ちよさそうに水の結界の中を泳いでいる……。
「魚!?魚がいる!!??ど、どういうこと~~~???」
あたしは目の前の光景を疑った。
「この中の空間がゆがんでいるのだろう」
「ふぇ?空間がゆがんでいる?」
あたしの疑問にダークエルフの少女ユーディリーが答えてくれた。
「うん、水の精霊力が不安定なのだろう」
「セイレイリョク?って何?」
「あなた達が言っているマテリアルの力のことだ。我々は精霊力と呼んでいる。精霊達の発する『力』の事だ。力場と言ってもいいかもしれない。精霊達は自分が持っている力の範囲内であればさまざまな現象を引き起こす事ができる。この水の結界も『自分の領域を作る』と言う意識から出来た物だ。我々妖精族は、こういった力を精霊から借りる事で魔法を使っている。それを精霊魔法と言うんだ」
「へ~、じゃこれも魔法の一種なの?」
マテリアルの力を使用する魔法ってことなんだろうか?
そういえば、武器屋のおじさんもマテリアルで魔力が回復できるって言っていたっけ。
あたしの疑問に、ユーディリーは精霊魔法について話をしてくれる。
「ああ、精霊魔法は魔族の使う技術魔法や天使が使う神聖魔法とは発動原理が違う。だから精霊魔法を解くには精霊魔法を使って中和するのが一番なんだ。そう言った意味で、先生はあたし達に頼んだのかも。もしかしたら魔界でこんな事になるなんて初めてなのかも知れない」
「は、初めてなのかもしれないって……。そ、それこそ先生達も手伝うべきだと思うんですけど~?」
「はははっ、そうかもね」
「……」
なんてこった!この今の現状事態が初めての事だと?今までそんな事はなかったからと言って、それを研修生に解決させると言う事はどういうことですか?しかもここにいるのは実施訓練初めて行った者ばかりなんですけど・・・。何であたし達がやらないといけない訳?そりゃ、イライザとナナオは助けたいけどさ、初心者に事件解決しろというのはやっぱり無理があると思うんですが?
あたしが「う~ん」と考えながら、頭を抱える。
「とにかく中に入ってみようぜ」
と、今まであたし達の会話を聞いていたゴブリンのクオンが、水の結界の前に立ってそう言ってきた。
「中に入る?どうやって?」
「そんなの結界を中和すればいいだけのことだろう?」
あたしの疑問に、不思議そうな顔をしてクオンが答えた。
「中、中和?」
『魔法の効果を消す』と言うディスペルマジックなら分かるけど、『魔法を中和する』などと言うのは聞いた事がない。あたしが不思議そうな顔をしていると、クオンは水の壁に手を当てて目をつぶった。そして、口で何かぶつぶつと言うと、水の壁に奇妙な波紋が広がり始める。
目を開けてその光景を見た後クオンは、
「もう、中に入っても大丈夫だぞ」
そう言って、『ぷにゅん』という音と共に水の壁をすり抜けて結界の中に入ってしまったのだった!
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