6話「実施訓練(後編)」
あらすじ
リオン達は訓練場で起きた出来事を講師のフロンに話すと、こういう事は専門家に聞くのが一番だと言ってある研修生たちを呼び出した。
その研修生は、すでに滅んだと思われていた『妖精族』で訓練場で見かけた4人組の男女だった。
13
先生が連れてきた4人組みは、みんな『妖精族』だという。
……妖精族!?
魔界に妖精族なんていたっけ!?
確か大昔にいなくなったと聞いたけど?
…………?
……待てよ?
――!あーっ、そうだ!彼らだ!
採取訓練のときに見た、初めてマテリアルを採るのに成功した4人組みのチームだ!!
「あ~っ!!分かった!」
「ど、どうしたの?リオン、急に大声だして……」
兄のアルデルがビックリする。
「ほら、採取訓練のときに見た4人組だよ!そっか、妖精族ならマテリアルの扱いは得だよね~。でもあれ?妖精族って滅んだんじゃないの……?」
「おい、コラ!!人を勝手に殺すな!!」
あたしが疑問を口にしたら、足元から声が聞こえた。
「ん?」
下を向くと小さな男の子が怒った顔をして文句を言っている。
「え~と、どちら様?」
「どちら様?だと~っ!?人を呼んでおいてその態度は何だ!!!」
身長1メートルにも満たないその小さな男の子が怒鳴る。
「クオン、やめないか!」
「だ、だってよ……」
ついさっきあたしが話しかけた褐色の肌の少女が止めに入る。
「すまない、我々は魔界に移住した者だ。でも魔族と会う機会もなかったので他の種族と話すことに慣れていないんだ。」
「え、いや、あの、その……、こちらこそ、ごめんなさい……」
悪いことを言ってしまった。彼らは妖精界が崩壊する間際に魔界に避難してきた人たちだ。つまり妖精族の生き残り。今までひっそりと暮らしていたんだろう。
何時頃、この魔界に避難してきたんだろう?種族にもよるが、妖精族はかなり寿命が長いと聞いている。
「そういえば、自己紹介がまだだったな、私の名は、ユーディリー・ロッド・パレル・オルレルだ。ユーと呼んでくれ。種族はダークエルフだ。属性は闇と火を持っている」
ユーディリーという少女はそう言うと、ニッコリと笑った。身長は155センチくらいの褐色の肌に細身の体、銀色の腰まで届く長い髪をポニーテルにしている。これはエルフの特徴なのだろう、少し長めの尖った耳をしていて目は青い瞳が特徴の綺麗な少女だ。
白のマントに白の上着に白の半ズボンをはいている。履いている靴も白のロングブーツだ。全身白のコーディネイトだ。腰には細身の剣を下げている。胸元に青い宝石のペンダントを掛けている。どことなく気品があるのも彼女の特徴みたいだ。それに体の周りには、ほんのりと赤い光が見える。これが妖精族の特徴なんだろうか。
「彼はクオン、クオン・アロード。種族はゴブリン。私の幼馴染だ。彼の属性は闇と土だ」
彼女は隣にいた背の低い男の子を紹介する。彼は身長1メートルにも満たない。だいたい95センチくらいだろうか?黄色のフードつきのロングコートを着ている。
浅黒い肌に、銀色の髪が短く切られている。そこからとがった耳が見える。やっぱりちょっと魔族とは違う耳の形だ。瞳の色は金色で大きく猫を連想させるような形をしている。顔には魔法文字だろうか、赤い文字が右頬に刻まれている。
「フン!」
そいつはそっぽを向いて黙り込んだ。まだ怒っているようです、う~ん。
「そしてこっちの彼が、フィフロス・グローシア・フェーン。幻狼族だ。属性は月と氷だ」
「よろしく!!」
次に紹介されたのが、獣人の男の子の方。元気に挨拶してきた。身長は180はありそうだ。兄貴が「う~ん」とうなっている。そんなに見てもどうにもならないよ、兄貴。彼は獣の耳に青い髪を少し伸ばしていてそれを後ろで縛っている。見た目ではほぼ人のそれなのだけど、ところどころ首や手首などに髪の毛と同じ色の動物の体毛が生えている。大きな尻尾がゆらゆらと動いている。
着ている服は、ジーパンに生地の薄いジャケットを着ており靴はスニーカー、全体的にラフな格好をしている。手には皮グローブをはめていて、鋭い目に緑の瞳なのだけどなんだか人懐っこそうな感じの顔をしている。なんだか体毛を見ているだけで暖かそう何だけど。それにしても妖精族にも獣人はいるのか~。彼らも変身とかするのかな?
「彼女はクラウン・シルバー・ティアニス。種族はケット・シーだ。属性は光と幸運だ」
「みなさん~、どうぞよろしくね~!」
最後に紹介されたのはかわいい猫耳の女の子だった。彼女は元気にジャンプして挨拶した。赤い髪に緩やかなウェーブの髪の毛が特徴の女の子だ。紫に瞳がとてもかわいい。背中には小さな薄い羽根のような物が2枚上に向かって生えている。
服はフリルいっぱいのかわいい服を着ていて、スカートから髪の毛と同じ色の猫の尻尾が生えている。よく見たらその尻尾は2本生えていた。魔族にいるツインテールという種族に似ている。
「我々は今回初めて、マテリアルピクターになるためにここに研修しに着ている」
ユーディリーはそう言うのだった。
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