6話「実施訓練(後編)」
あらすじ
マテリアルから現れた精霊みたいな存在に、訓練場内にある広大な森は大きな水の結界に包まれてしまった。
どうしたらいいのか分からないリオン達は、施設に戻って講師の先生に相談することにしたのだった。
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訓練施設では大騒ぎになっていた。
実施訓練施設で巨大な水の結界が出現し急遽、実施訓練は中止になった。
そりゃそうだよね。
訓練なんてやっている場合じゃない。
あたしと兄アルデルは、この状況をフロン先生とシャンガン先生に話をしたのだった。
「まさか、マテリアルの中で精霊が復元を行っていたとは……。研究者としては実に興味深いですね!彼女にあっていろいろと話を聞いてみたいものです。もしかしたら精霊復活のヒントになるかもしれない!!」
と、何故か凄く嬉しそうに言うフロン先生……。
「先生、そう言う場合じゃないと思うんですけど……」
「そうですよ!イライザとナナオがあの結果以内に捕まっているんです。何とかしてください!!」
兄もあきれた様で、先生に文句を言う。
「まぁまぁ、それにしてもあれはどんな原理で出来ているのでしょう?魔力を使っているという感じでもないし……」
先生は不思議そうに巨大な水の結界を観察していた。もちろん遠くからだけど……。
不思議なことにこの水、森や動物達は結界の中にいるのに溺れていない。というか草食動物や小さな鳥や虫なんか、のんびり草なんか食べている。空気があるんだろうか?これが精霊魔法?
中の動物が生きているということは、イライザ達もまだ大丈夫ということ?
よ、よく分からない……。
「それにしても、あのマテリアルから出てきたのってやっぱり精霊なんですか?」
あたしがフロン先生に聞いてみた。
「……どうでしょうか?こういうのは専門家に聞くのが一番ですね」
「専門家?」
そう言うと、フロン先生が誰かを連れてくるように他の生徒に言って呼びに行かせた。
10分ほどすると、4人組の男2人、女2人の研修生がやってきた。
なんだろう?この4人、普通の魔族とはちょっと違うような気がした。
そして妙な違和感というか、不思議な感覚と言うか……。
「こんにちは」
4人のうちの1人褐色の肌の少女が挨拶する。
「あ!こ、こんにちは」
あたしもつられて慌てて挨拶する。
「先生この人たちは……?」
兄貴がこの少し不思議な4人について質問した。
「この子達が、精霊魔法の専門家だよ」
先生はニッコリ笑ってそう言った。
緊急事態なのに、ちっとも緊張感がない。
「精霊魔法の専門家ってどういうことですか?」
兄が先生に聞いている。
あたしはこの4人がどこかで見たような気がした。
どこで見たんだろう、う~ん……?
「あの~、どっかで会いませんでしたか?」
あたしがそう聞くと、褐色の肌の女の子は不思議そうな顔をする。
「い、いえ。初めてですけど……?」
困惑したのかちょっと困った感じでそう答えた。まぁそりゃそうだろう。たぶん、会った事ははないと思われる。何やっているんだ、あたし?
「この子達はね、妖精族なんだよ。精霊魔法の専門家だね」
先生はのんびりした口調で彼らを紹介した。
はぁ……、妖精族ですか。
ん!?妖精族!?
「よ、妖精族!!?」あたしと兄貴はビックリした!
「そうですよ?」
先生はどれがどうかしたのか?という感じの顔をであたし達を見るのだった。
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