6話「実施訓練(後編)」
あらすじ
助けを求める声を聞いて飛び出したリオンだったが、声の主はまったく見つからない。
そこへリオンを追いかけて、兄のアルデルがやってきた。
そして一緒に探そうと提案するのだった。
9
「リオンの気持ちは分かるよ、俺も一緒に探そう」
「本当!?」
兄のアルデルが一緒に探してくれると言ってくれた。
「1人でやるよりも効率がいいし、何より助けを求めているのなら助けないといけないよね。そうと決まれば早く探そう、もうすぐ訓練の時間も終わってしまうよ!」
兄はニッコリ笑ってそう言ってくれた。
確かに1人で探すよりもいいかもしれない。それにもうすぐ実践訓練の時間も終わってしまう。あたりは茜色に染まりもうすぐ暗闇がやってくれる。
擬似空間のこの場所でも夜はやってくるのだ。
暗くなってしまうと探すのも大変になったしまうし、今先生たちに報告しても誰を探しているのか分からないのでそれを言うことも出来ない。
「とにかくここら辺りから声が聞こえたんだね?」
「うん……」
「なら生命反応がどこかにあるはずだよ?」
「生命反応……?あっ!!そっか!!!」
声が聞こえたのならその主はまだ生きているということ、つまりこの辺に生命反応があるはずだ!
「生命感知の魔法を使おう。これでその声の主が見つかるはずだ。」
兄のアルデルがそう言うと呪文を唱え始めた。
程なく森や川、あたし達がいる滝の周りに薄い空気の幕のような物が張り回らされる。
するとどうだろう、その中にいくつかの生命反応が赤いともし火となって光り始める。この生命反応魔法は半径1キロ以内の動物は赤、人は青、魔物は黄色と反応が色別に区別されて光る。主にモンスターつまり魔物の探索や災害なので行方不明になった人を探すための人命救助などで使われる魔法だ。
上級者になると探索範囲も広がっていくし、的つまり探したい生命反応を指定して探すことも出来るようになる。最近はそれらを付与したマジックアイテムなんかが売られたりしているけど。
生命反応を確認しつつあたしと兄貴は、再度森の中を探し始めた。
すると小さな滝を隔てた北側の森に怪しい反応がある。
人の魔力……、つまり生命反応だ。
「どうやら向こうのほうだね」
あたしは兄と一緒に北側の森へ行った。
するとどうだろう?北側の喪にrの方にも同じような滝が見える。
「こっちにも滝があったのね、知らなかった」
「調べてみよう」
あたしと兄貴はもうひとつの滝を調べて見ることにした。
ここに強く生命反応がある!しかも2つだ!
「どうやらここで間違いないようだね」
滝の大きさというと、さっきの小さな滝とは違い有に10メートルはあるだろうか。
夕暮れ時なのに、その滝壺の水は透明度が高くとても綺麗だ。飲水としてもいいかもしれない。
あたし達はその滝壺を調べて見ることにした。
するとどうだろう。滝壺の中に何か光るものを見つけた。
それは生命反応だった。
その光はよく知る人物を映し出していたのだった。
「兄貴!滝つぼに2人沈んでいる!!」
「本当か!?早く引っ張り出そう!!」
そう言って滝つぼに近づくと、水の中に光る物が見えた。
「待って!あれって……マテリアル?でかい……。しかも滝つぼの中にいるのって……、イライザとナナオ!?」
なんと滝つぼの中にいたのはイライザとナナオだった!
しかもよく見ると巨大なマテリアルが2人を閉じ込めているように見える。もしかして、マテリアルに捕まってる!?
ど、どういうことなの!?
「これはまずいな……」
「先生に連絡したほうが良い?」
「そうだな……、とりあえず連絡しよう」
そう言って兄貴は先生に連絡した。
「先生が来るのに時間が掛かる、俺達で何とか2人を助けよう」
「うん!」
なんだかんだ言ってケンカとかするけど、2人はやっぱり同じ仲間だから助けたい。きっとあの時の声はこの2人の声だったんだろう。でもどうやって助ければいいんだろう?
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