6話「実施訓練(後編)」
あらすじ
イライザとナナオが大変な目に遭っている頃、あまりマテリアルが上手く採取出来ずに悩むリオン。そんな中不思議なマテリアルを発見する。
そのマテリアルは採ることを禁止されているものだった。
6
残り時間後30分ほど、そろそろ講師の先生も時計の針なんかを眺めている頃だろう。
あたしと兄アルデルは、ポイントを稼ぐためにマテリアルを探していた。
「う~ん……、見つからない!こんなに探しているのに何で見るからないの!?」
上空から町を見下ろしてあたしは文句を言う。町は完全無人で誰もあたしの文句なんて聞いてないただ一人を除いて。
「リオン、文句を言っていないでちゃんと探そう」
「う~~っ……」
恨めしそうにあたしは兄貴を見る。
探し出したマテリアルのほとんどが兄貴が探してきた物なのだ。自分で探し出した物は一つもない!
「は~っ、なんでこんな町がエリア指定されているんだろう?町になんかそんなにマテリアルが集まる場所なんてあんまりないよね~」
「そんなことないよ、マテリアルはどこにでもあるよ」
「う~ん」
そんなどうでもいい話をしながら、マテリアルの反応があるかどうか確認していく。マテリアルのエネルギー波動を感知していくのだ。あたしの場合、やってもまったく反応ないんですけど。やるだけむなしくなっていく……。
「そういえば、イライザ達今頃どうしているんだろう?ポイントたくさん採っているのかな?」
「ん?気になるの?」
「べ、別にそう言うわけじゃないけどさ……」
気になるといえば気になる、あたし達よりポイントが高かったらどうしよう!
「クスクス、リオンはイライザとホント仲がいいよね~」
兄貴が笑いながらそう言った。な、何~!?そんなわけないでしょう!?どこをどう見たらそう言う風になるわけ!?
「あ、あのね!イライザは友達じゃありません!!ただの知り合い!あんまり好きじゃないけどね……」
「へ~……、まぁそう言うことにしておこう」
兄のアルデルはそう言ってまたマテリアル探索を始めた。何を突然言うのやら……。
とはいえ、ホント何も見つからないな~。
あたしは波動探索は無理なので街中を探索してみることにした。改めて人間の町を見てみる、町ってこうなっているのか……。人工建造物が並ぶ町並み、ところどころ公園と思しき場所があるが規模が小さすぎる。こんな狭くて自然の少ないところにマテリアルは存在しない。
ちょっと先を行くと白い建物が見えてきた。そこは何かを祭っているようだ。その建物の屋根には十字のシンボルが乗っている。これって何だろう?不思議に思ってその建物に近寄ってみる。その建造物の真上になんと白く輝くマテリアルが浮かんでいるじゃありませんか!!
「あ、兄貴!ここにマテリアルがあるよ!!しかも白くてとても大きいやつが!!!」
早速兄のアルデルを呼んで、自分の見つけたマテリアルを確認してもらった。
「これは……」
「どう?凄いでしょう!!あたしが見つけたのよ!これもっていけばポイント高いよね!!!?」
兄はマテリアルをジーと眺めている。あまりの大きさにビックリしているのかも?なんたってこの白いマテリアル、大きさがなんと人間がよく乗る乗用自動車1台分位の大きさがあるだ。ビックリしないほうがおかしい!
「リオン、これは採ることはできないよ」
そ、採れない。って、え?採れない!?
「ちょ、ちょっと採れないってどういう事!?これはマテリアルなんでしょう、採っても問題ないでしょう?何で採る事が出来ないのよ!!」
あたしは抗議した。せっかく見つけたのに何で採っちゃいけないのよ!?
「リオン、これは『ホーリークリスタル』といわれるマテリアルだよ。人間の信仰が結晶化したもので普通のマテリアルとは違うものだよ。これは自然エネルギーではなく精神エネルギーの塊なんだ。だから持ち帰ってもエネルギー変換は出来ないんだよ」
「えええええーーーっ!!!?うそ~~~、そんなマテリアルがあるの!?だとすると・・・、なんでこの訓練所にそれがあるわけ・・・?」
「まぁ、こういうものもあるから注意しろってことなんじゃないかな?」
「紛らわしい!!!」
ホント、紛らわしい!!何でそんなもんが存在しているんだ!?まったく!!!
「紛らわしいなんていっちゃダメだよ!このマテリアルは、これからたくさんお世話になるんだから・・・」
「へ?どういうこと・・・?」
「このホーリークリスタルは別名『癒しの結晶』といって、このマテリアルに触れるだけで体力が回復したり体の傷が治ったり、魔力が回復したりするんだよ。」
なんと!そんな便利なマテリアルが存在するだ?でも何で?
兄の話では、なんでもこのマテリアルは人間が神や精霊に祈りをささげることによって作られるらしい。自然の物ではないのだが清らかなプラスエネルギーがたくさんあり、人間でもそのエネルギーを感じることが出来るらしくそばにいるだけでもリラックスできたりするらしい。
これらの物には神を祭る教会や寺院、神社やお寺などの建物に出現するらしい。人は祈りをささげることによって双方にエネルギーを分け与えているのだという。こんなマテリアルも存在するのか。
「このマテリアルを守るために天使がついている場合もあるらしいよ」
ホーリークリスタル。聖なる力を宿す神聖なマテリアル。人々の純粋な祈りで出来たマテリアル。その祈りの力とは、「愛」とか「平和」とかそんな感情エネルギーで出来ているというものらしい。
なぜこんなマテリアルが出来るのか?ホント、マテリアルは不思議ね……。
しかもこんな訓練場に出来るなんて……。ひょっとしてこの訓練場、物質界とつながっているんだろうか?
それにしても天使がこのマテリアルを守るとは……、天界にとってもこのマテリアルは重要なの物と言う事なのだろう。
聖なるものってことは、神様の意思でも入っているとでも言うのだろうか?
彼ら天使にとって神を守り守護するが使命だからね……。
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