6話「実施訓練(後編)」
あらすじ
大きサイズのマテリアルを取るといってもどうすればいいのか悩むリオン達。でもそんな大きなサイズ他の研修生も狙うわけで、何故こんなランキング制度が出来たのか疑問に思うリオン。とりあえず、なんとか10個ほど出に入れることが出来たのだが。
そんな中、リオンたちとは違い順調にマテリアルを集めるイライザ達。
「マテリアル集めって簡単ね」余裕のセリフを言うイライザだった。
4
「これでマテリアル10個目!」
あの変な妖鳥族の2人組みがいなくなった後、あたり達は上空からエネルギー反応を確認しながら大き目のサイズを狙ってマテリアルを採取していた。
うまく探せば結構見つかる物だ。
残り後30分くらいだろうか?目標の20個まではまだ遠い……。
「これだけやって10個とは……」
「でもその代わり、大きめのサイズを採っているからマテリアルの総合ポイントは高いはずだよ?」
高いのかどうなのかは、集計してみんなの物と比較してみないと分からない。
みんなはどのくらいマテリアルを採取しているのだろう?
「ポイントが高いのかどうかなんて分からないわよ。それよりもみんなどのくらい採っているのかが知りたいよね。」
「それは……、実践訓練が終わらないと分からないよ」
「1時間半で10個程度……しかも最初の2時間は変な連中のせいで、だめになってしまうし……」
あたしが愚痴をこぼしていると、
「そんなの仕方ないじゃないか……、まだ30分あるんだからもう少し頑張って探そう!」
兄のアルデルがそう言う。
「確かに、たくさん採らないとマテリアルピクターになれないものね。もう少し頑張るか!」
あたしはそう言って、背中の黒い翼を広げてマテリアルを探すために町の上空へ飛んでいった。
イライザとナナオは順調にマテリアルを手に入れていた。
「マテリアル採取って案外簡単なのね~」
「そうですね。ここのエリアで採取する人もいないようですし、今回は楽なところに来たのかもしれないですね」
イライザたちのいる森では環境が良いのかマテリアルが豊富にあるところが多い。森や川、滝などにはかなりの大きさのマテリアルが存在していた。
「やはり自然の状態のほうがエネルギーが強いのでしょうか?」
ナナオが森の風景を見ながらそういった。
「それはどうかしら?文明の中にも自然エネルギーは紛れ込んでいるし、こういうのは案外複雑な物が多いみたいだから……。すべてが自然の状態だからいいというわけではないと思うわ」
イライザが否定する。
「それもそうですね。人間界の文明には自然の力を応用した機械なども存在しているわけですし、どんな物にも自然エネルギーが宿っているのか分かりませんからね」
確かに自然エネルギーといってもいろいろある。どんな物にどんな状態でエネルギーが貯まっているのか分からない。自然とはもっと複雑な物だ。
「でも中にはそうでない物もあると講師の先生も言っていたわね」
「そういえば言ってましたね、どんな物なのかは分かりませんが……」
「そのうち分かるかもしれないわね」
そんなたわいもない会話をして森の小道を歩いてると、イライザたちの目の前に大きな滝が見える。
イライザ達は知らないうちに、森の中にある川沿いの小道を歩いていたのだった。
「――滝ですね」
ナナオが言う。
この森の中心の位置だろうか?
滝といっても大小様々なものがあるが、イライザ達が見つけた滝は高さ10メートルはあるかというくらい大きめの滝だった。流れる滝の水は透明度が高く、水の中の様子が見えるくらい透き通っていた。
「綺麗な水ですね、もしかしたら近くにマテリアルがあるかもしれないですね」
ナナオがそう言いながら、滝の周りを調べ始める。
イライザは滝の近くまで寄って、何かないか確認してみる事にした。すると水の中にほのかに光る物体が見える。マテリアルだ。
マテリアルは滝つぼの中に存在していた。
滝壺の深さにも関係しているかもしれないがこのマテリアル、一人分はあろうかとい大きな物が水の中に存在していた。
光が反射して水の中でマテリアルが光を放っている。もう少し確認してみると、わずかだがマテリアルは静かに右回転しているのが見て取れる。
「水のマテリアルみたいですね。かなりの大きさですね!」
ナナオも滝つぼの中を覗いて、マテリアルの大きさを確認した。
「このくらいあれば、かなりポイントも稼げそうです!」
「そうですね~、残り時間もあまりないし……。採れるだけ採りましょう!」
自分たちがランキング上位に行くには多くのマテリアルが必要だ。もちろん数だけではなく、そのマテリアルが保有するエネルギーも重要なポイントになる。
そう決断すると、ナナオは早速杖を持って呪文を唱えた。
二人で立派なマテリアルピクターになるには、力をあわせてやっていくしかない。自分が足手まといになってはいけないと慎重に呪文を唱えていく。
ナナオの魔力によって水の流れが変わっていく。
その様子を見て、イライザが次に掛けるための呪文の準備をする。
そして水の中にあるマテリアルが鈍く反応した。マテリアルを中心に渦が発生しようとしていた。
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