6話「実施訓練(後編)」
あらすじ
訓練場にあるマテリアルをここで手に入れても大した額にならないと分かったリオン。しかも大半の収入がセンターに持って行かれると知ってショックを受ける。その上保険やら何やらで色々引かれると……。
小さいサイズのを狙うよりも大きいサイズのマテリアルをとって、ポイントを稼いだほうが儲かるかもしれないと思うリオンなのでした。
3
「大きいマテリアルを採取すればいいんだよ」
兄のアルデルがそういった。
「大きいマテリアル?でもそれって、採るの大変なんじゃないかな?」
大きいって事はそれだけ危険なわけで、そんな危険を犯してまで採取しに行く人がいるんだろうか?
「でもさ、サイズの大きいマテリアルのほうがエネルギーも高いし買い取り価格も高い。今は訓練だからポイントもそこらのよりも何倍も高いはずだよ!実際、マテリアルピクターをしている人はみんな大きいサイズのを採取している人が多いしね」
「なるほど、大きいほうが小さいのを採るよりも高く買ってもらえるしポイントも高くなる……。確か危険だけど一度にたくさんのエネルギーが手に入るからみんな狙うわけね?」
やはりここも高いポイントを狙って大きいサイズのマテリアルを狙うべきか?
「でも大きいサイズってどのくらいのがいいの?」
「そうだな・・・、最低でもこのくらい?」
そう言って兄貴は両手でサッカーボールを連想するくらいの大きさを輪を作った。
「それって、結構でかいじゃん」
あたしが笑いながら言った。いくらなんでもそれは大きすぎでしょう?そんなサイズのマテリアルがこの訓練場にあるのかしら?
「何言っているんだよ、本当に大きいマテリアルはこれよりも大きいんだぞ!このくらいのサイズでもまだ小さいほうだよ!?」
兄がむきになって怒る。
「アハハハハッ!ごめんごめん!それじゃ、本当に大きいサイズのマテリアルってどのくらいあるの?」
「あそこにビルくらいの大きさになるらしいよ。よく人間界の地上に現れる台風とか海の底などに出現するらしい」
「――え、マジで?」
「うん、この前図書室にある資料に載ってた。マテリアルの大きさは千差万別、エネルギーがある限り大きくなっていくらしい。さすがに底まで大きくなると採取するのが難しいのか大勢のチームを組んで採取したりするらしいよ」
「へ、へ~……。でも、いくらなんでもあたし達までそんなことはしないんでしょう?」
「そんなこと分からないよ?要請が着たら受けるしかないからね」
う~ん、なんだかいろいろあってよく分からない。
「とりあえず、マテリアルを探そうよ」
「そうだね」
そんな巨大マテリアルが訓練場に設置されているとわ思わないし、そもそもそんな物がここで発生するわけがないし……。
とりあえず、あたし達は町の上空を飛んで手ごろなマテリアルがない探しに行くのだった。
実践訓練場のフィールドはかなり広い。研修生すべてが今このフィールドでマテリアル採取の訓練を行っている。この実践訓練で毎回手に入れるマテリアルのエネルギーポイントを総合ポイントランキング表示、毎月上位3位以内に入れば、研修生でも見習いマテリアルピクターとして仕事を行うことが出来る。 みんな上位を目指してマテリアル採取をしている。採取したマテリアルの獲得ポイントがそのまま成績みたいになるため中には奪い合いの場合もある。そのため研修生は戦闘訓練を受けなければならない。
でも何故このような奪い合いが行われるようになったのか?
当初はマテリアルの奪い合いなどは行われていなかった。そもそも戦闘訓練は、マテリアルの抵抗に対して行われていた訓練だったのだが、今では他のマテリアルセンターから来るマテリアルピクターからマテリアルを守るために行われるようになってしまった。
今訓練を行っている研修生たちは、そういった事情をまだ知らない。第7支部もとりあえず実践訓練の中でマテリアルの奪い合いによる訓練はやっているのだが、今まで他の支部からマテリアルが奪われた事はまだ一度もなかった。
マテリアルピクターの役割が少しずつゆがんできているのではないかと第7支部の者達は少し不安に思い始めていた。
リオンたちのクラスを担当している講師フロンは、訓練が行われているフィールドを見てこれからのことをどう研修生達に説明していこうか考えながらフィールドを見つめていた。
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