6話「実施訓練(後編)」
あらすじ
実施訓練が始まって結構時間が経つのにあまりマテリアルが採れないリオン達。
この訓練でも採れるマテリアルは力は弱いが本物だと知ったリオン。と言う事は、このマテリアルは売ることは出来るようで……。
借金のあるリオンは、一体いくつマテリアルを採れば元が取れるのかと疑問に思うのだった。
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「ところでさ、このマテリアルって実際の買取っていくら位なのかな?」
あたしは頭の中で気になっていたことを兄のアルデルにちょっと聞いてみた。
「マテリアルの買取?」
「そうそう!」
一番気になるそれ、マテリアルの買取!!
今、あたしたちは上空を移動しながら新たなマテリアルを探している。空はオレンジ色に染まり若干夕暮れ時という感じ。これが人間界の空。昼間はスカイブルーの色夕方になるとオレンジになる、ちょっと変わっているよね。でもこれは施設が幻影装置で映し出している映像なので実際はどうなのかよく分からない。
「そうだな・・・このサイズと質量、パワーバランスを見ると1個500Gくらいかな?平均よりは高いマテリアルだね。」
誰だって気になるのはマテリアルの買い取り価格!
マテリアルピクターはこれが実際の収入になるわけで、一番気になるものでもある。
あたしから言わせれば、借金返済の目安にもなるわけだからとても重要だ!
そうか、今日採ったマテリアルは1個500Gするのか……、今3つあるから1500……となると結構な金額かも!?
「リオン、言っとくけど報酬は2人で分けるんだよ?しかもそのうちの50%はセンターに持っていかれるし見習いはさらにその半分しかもらえないんだよ?」
「へ!?半分……?」
そう聞いてあたしはショックを受けた!
「そ、そんな・・・それじゃ、あんまり儲からない~!!」
あたしは頭を抱えた。
だってあたしは借金だってあるんだよ!?
「あのね……、それだけじゃないよ。マテリアルピクターは絶対に保険入らないといけないからその支払分とか国に収める税金なんかも差し引かれるから俺達がもらう手取りなんてほんのちょっとだよ。」
ガガーーーン!!!
そ、そんなちょっと借金どころか生活すら出来ないじゃない!!!
「だからたくさんのマテリアルをいっぱい集める必要があるんだよ。先生も言っていたじゃないか最低でも20個くらいは採取できるようになってくださいって。」
「くっ、20個か……厳しい!」
あたしは腕を組んで考え込む。今のペースで1日20個集めるのは、はっきりいって無理だ!!
「実際のマテリアルはもうちょっと安いかもしれないね。先生が言うには1個の値段が200から300くらいのが大半らしいよ?人間界での滞在期間も考えるともっと採らないと生活の足しにもならないかもね~、しかもリオンの場合は借金もあるし……」
「うぐっ!!」
「ど、どうすればいいかな?」
いくら買い取り価格が高くても、見習いのあたし達にとってはそんなに儲からない。それに結構いろいろ引かれるみたいだし、実際に仕事をして稼げる時間って滞在期間がそんなに長いわけがないのでほとんどが短期間勝負みたいなものだ。
確かに頑張ればたくさん稼げる、でもヘタクソだとちっとも儲からない……。なんて落差の激しい職業なんだろう?今さらながらにそう思った。
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