5話「実施訓練(前編)」
あらすじ
二人を襲った妖鳥族の2人組みの格好が何故か私服だったのが気になったリオンだが、今はマテリアル採取の方が優先。いっぱい集めないと成績ランキング上位には食い込めないからだ。
早速特大のマテリアルを採取しようと思ったリオン。
すると突然突風が!
マテリアルが自己防衛の風を巻き起こし、リオンを吹っ飛ばしたのだった。
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ゴゴーーーッ!!!
マテリアルの周りを物凄い突風が吹き荒れる!
今のあたしには、そんな妖鳥族の二人組の事なんて考えている暇はなかった。
「リオン!!?」
「キャ~~~!!!」
あたしが変な疑問をちょこっと考えていたら、マテリアルの作り出す突風に吹き飛ばされてしまったのだ!!
半人前ってこんなにつらいんだな~、とほほ……。
あたしは気がついたら廃棄のビルのどこかに生えている木の枝にぶら下がっていた。
「う~~ん、酷い目にあった……」
「リオン、大丈夫か!?」
「う、うん。平気……」
「頭ぼさぼさ……」
そういって心配そうに兄貴はあたしの頭をなでる。
「はっ!!マテリアルは!?」
「ここにあるよ」
う~ん、いつの間にやらマテリアルは兄の手の中に……(正確にはコンパクトの中に)!
「どうやって採ったの?」
「え~と……」
兄貴が言うにはあたしを吹き飛ばした後マテリアルは一時的に力がダウンしたのか、活動を停止したんだって。マテリアルにも渾身の力なるものがあるのか?と一瞬思ったけど、活動停止状態のうちに一気に採取したんだって。まぁそんな対した説明ではないわけでだったんですが……。
それより気になるのはあの2人組み。
「ねぇ、あの2人、ここのセンターの研修生だったのかな?」
「どういうこと?」
「あの2人私服だったでしょう?あたし達はみんなジャージを着ているのに……」
「ああぁ!!そういえばそうだね!どういうことなんだろう・・・?」
あたし達は急いでマテリアルがあった廃墟ビルに向かった。
するとどうだろう、廃墟ビルの隣で気絶していた妖鳥族の2人組みはいなくなっていた。
「え!?いない?……これって、どういうことなの?」
「う~ん、とりあえず先生に相談したほうがいいと思うけど」
「相談?」
「ほらもしかしたら、ジャージを忘れていた研修生かもしれないだろう?」
「そうなの……?」
なんかふに落ちない……。うちの研修生にあんな乱暴なやつなんていたっけ?いや、今は実施訓練中だし、ランキングにも影響があるわけだから仕方ないのかもしれないけど……。だけどマテリアルを壊すとか言ってとんでもないことを言っていたのも確か。
あたしが難しい顔で悩んでいると、
「先生に一応報告しておくよ~」と兄貴が言う。
そう言うとポケットから通信機を取り出しだ。通信機は宝石みたいな形をしていて宝石の真ん中に小さなくぼみがある。そこを押すと小さな画面が宝石の頭上に出現する。
「先生」
「おや、アルデル君どうしたんですか?」
小さな画面にフロン先生が映った。
「実はさっき私服の妖鳥族の研修生のペアがいたんですけど、さっきまでそこの廃墟のビル近くで気絶してたのですが先生達が回収したんですか?」
「私服の研修生?」
「はい」
「ちょっと待ってなさい」
そう言うと画面からフロン先生がいなくなった。
するとまた戻ってきたのか先生が画面に出て
「分かりました、君達は気にしないで訓練を行ってください。それじゃ何かあったらまた連絡をくださいね」
そういって通信は切れた。
「……」
あたし達は顔を見合わせて、首をかしげた。
あっさりとした先生の返答。
え~と、このまま続けてもいいのかな……?
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