5話「実施訓練(前編)」8
あらすじ
リオンは兄のアルデルが見つけた大きなマテリアルに近づいて採取しようと思ったとき、もう一組のマテリアルピクターの研修生に襲われた!
襲ってきたのは妖鳥族の少女と少年だった。
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妖鳥族の少年はいきなり剣で切りつけてきた。
あたしは本能的にそれをよけた。おかげで怪我をせずに済んだけど……。
背後から急に剣を振り下ろされたので思わずビックリした。
「リオン、大丈夫か!?」兄貴が心配そうに声を掛けた。
「い、いきなり何をするのよ!危ないじゃない!!」
あたしが文句を言うと少年は、
「何を言っている、もう訓練は始まっているんだ!どんな風にマテリアルを採ろうがこっちの自由だ。邪魔するやつは叩き切ってやるだけだ!!」
「な、何~!!!?あ、あんたねーー!!」
あたしが文句を言おうとすると、
「レッカ!今の内にマテリアルを採っちまえ!!」
「分かっているよ!あんたこそ、そこの連中引き付けておいてくれよ」
「分かっているさ!」
レッカと呼ばれた妖鳥族の少女がマテリアルのところへ向かう。
「あ、兄貴!!採られちゃうよ!!」
あたしがそう叫ぶと「分かってる!」そう小さくつぶやいた瞬間、隣にいた兄貴がいなくなった!
「へっ!?」
さっきまでいたはずの人物が忽然と消えたわけで……。
それは相手の妖鳥族の少年も同じで……。
ドガッ!!
「キャーーー!!!」
突然、鈍い音とともにレッカと言う少女が悲鳴を上げた!
「レッカどうした!?」
少年が振り向いた瞬間その光景にさらに驚愕した。
それはマテリアルに近づこうとしていた妖鳥族の少女が、落下していくところだった。
気づいたら兄のアルデルは、いつの間にかマテリアルのすぐ近くに着ていた。その目はいつも見慣れている金色のはずなのに魔力を帯びているのか薄く輝き、まるで獰猛な爬虫類を思わせるような鋭い目つきだった。
兄は顔色ひとつ変えず瞬間移動で、妖鳥族の少女を殴り飛ばしマテリアルの近くまで移動したのだった。
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