5話「実施訓練(前編)」
あらすじ
発電所でマテリアルを探すリオン達。
だけど、使用していない発電所ではマテリアルは見つからなかった。
すると兄のアルデルが大きなマテリアルを見つけるのだった。
7
感知魔法はあんまり役に立たないし、探査魔法は特定の場所を指定して掛けるのだけど、探すためのマテリアルの種類が分からないと引っかかりもしないので役に立たない。
唯一役に立つのはセンスオーラ(波動感知)だけだったりする。
結局このセンスオーラでマテリアルを探すことになった。
今は廃墟のビルを探索中~。現在5階を物色してます。
「あぁ~あぁ、もう……、教えてもらった魔法全然役に立たないじゃん!」
あたしが部屋の中をきょろきょろしながら文句をたれていると、
「向こうのほうに何かある!」
と、兄のアルデルが言った。
「ホント!?」
あたしも兄貴が見ている方を向く。そこには廃墟のビルの壁が見える。もちろん、あたしの目にはオーラなんか見えやしない。今だセンスオーラ習得できずにいる自分……。
センスオーラっていうのは特殊能力の一種らしい。もちろん、オーラを見る魔法もあるけどそっちもまだ覚えていない。ちなみに竜族は成人すると自然と身につくらしいので魔法を覚える必要はないと言われたけど……。
見えないと言うのは結構つらいもので、
「え~、どこにあるの?分かんない!!」
あたしが文句を言うと兄が、
「ほらあそこだよ、屋上の上。」と廃墟のビルの壁の上を指差す。
わ、分からん・・・。あたしにはただの壁しか写ってない。
「とにかく行くよ!」
と兄に腕を掴まれて、そのまま壁に向かってダッシュした!
「うわ~っ!!!?ぶつかる!!!」
って、思ったらそのままあたし達は壁をすり抜けて屋上まで飛んでいった。そうか、壁抜け出きるんだっけ?忘れてた。
廃墟ビルの屋上に小さなマテリアルがくるくると回っている。
おお!本当にあった!!
ビルの屋上には海岸付近から海風が吹いていてちょうどマテリアルを通過して吹いている。この人間の町は遠くに港があるらしく、海風が街中まで吹いているのだ。いわゆる湾岸都市といった感じだろうか?もちろんこれは実践訓練用に作られた施設なので人間がその中で暮らしているわけではない。
「それじゃ、早速採ろうか!」
「そうね!」
あたし達がマテリアルを採ろうとしたとき、
「ちょっと待って、それはあたし達が先に見つけたのよ。このマテリアルはあたし達の獲物よ!」
背後から女の子の声が聞こえた。
「え?」
と、振り返ってみるとそこには背中に羽を生やした少女と少年がいた。
その2人の風貌は天使を思わせると言うよりは、妖鳥を思わせるような羽を持っていた。少女のほうは赤い髪に銀のロッドを持ち白というよりは金に近い薄い黄色の翼を、少年は帽子を深く被り、右手には長剣を持ち背中には鷲か鷹を思わせるような猛禽類に近いたくましい翼を持っていた。服装は北国の民族衣装を思わせるような服を着ている。
妖鳥族のペアだ!
「マテリアルは早い者勝ちだろう?採取の邪魔してもらっちゃ困るんだよ!」
もう1人の少年がそう言うなり、手に持っていた長剣で切りつけてきたのだった。
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