5話「実施訓練(前編)」
あらすじ
実施訓練の訓練場へ来たリオン達。
そこは今まで練習してきた場所とは随分と違う所だった。
他の訓練所とは違いとても広く、丸々一つの町が存在している場所だった。ここは亜空間で作られた訓練所だったのだ。
4
さすがに実施訓練を行う場所は今までとは雰囲気が違う。
なんというか山もあれば川もあり、海のような場所もあれば町並みのような所もある。
一言で言えば、一つの地域が丸ごと実施訓練の訓練場所となっているのだ。しかもその場所がマテリアルセンターの研修施設の中にあるなんて、いったいこの建物はなんなんだ?建物の外はというとよくある普通のちょっと大きめの体育館が3つほど入る程度の施設なんだけど、そういえば亜空間制御で空間を作っているとか何とかいってた様な気がする……。
「みんな集まったか?」
ジャンカン先生が全員そろったか確認したあと、こう言い出した。
「これから実施訓練に入る。今まで習ったこと覚えたことを思い出して訓練に望むように。それと、腕に付けているブレスレットはみんな外して構わない。」
「?ブレスレット?」
あたしが?マークを出すと兄貴が
「ほら、最初の訓練のときに先生がくれたあのブレスレットのことだよ」
「ああっ!あれか!!」
思い出した!あの時マラソンをする前に渡されたブレスレットだ。いつの間にかブレスレットしていることも忘れていた。それだけ体になじんだってことかな?
早速あたしはブレスレットは外す。
「ブレスレットは回収するからみんなこの箱に入れてくれ」
「もう、このブレスレットは使わないんですか?」
研修生の1人が聞いてくる。
「もう体の不調とかはないんだろう?ならもうこのブレスレットは必要がないだろう。中にはブレスレット付けたまま忘れて過ごしていたやつもいるようだしな。」
先生がニヤニヤしながらそういった。
う~っ、なんか気に触る。
「それじゃ全員、ブレスレットを外したな?なら、そのままペアを組め。もちろん、最初のくじ引きで決まっているから分かるだろう?」
ブレスレットが外れたからだろうか体が軽い!
「リオン、何してるの?」
ピョンピョン跳ねてたからだろう、兄が不思議そうな顔をしてあたしを覗き込んだ。
「うっ、な、なにちょっと体が軽くなったような気がしたな~って思っただけだから!」
あたしが慌ててそう言うので、兄は「ふ~ん・・・」となんとなく納得したのかどうか分からない返事をされた。
そんなどうでもいいことをやっているうちに先生はみんなに実施訓練について説明する。
「みんなも掲示板を見て知っていると思うが、実施訓練の成績はランキング制度になっている。ランキング上位3位までの者は、人間界へ行くための講習を受けた後マテリアルピクターの補佐として仕事を行うことが出来るのでみんな頑張ること。
それとマテリアル採取についてだが、基本誰がどのように採っても構わない。マテリアルは随所に散らばっているので根気よく探せば見つかる。先に早くマテリアルを採った者がポイントを稼げる。その際の妨害を行っても誰も止めないので好きにして構わない。もし怪我をして訓練続行が出来ない場合は先生に連絡すること。笛がなったらフィールドに入って訓練開始、再度笛が鳴ったら訓練終了、以上だ」
そう言って先生は椅子に座って時計を見始めた。
――ちょっとまて。何かふに落ちないぞ?
「ねぇ、さっき横取りがどうのこうの言ってなかったっけ?」
「言ってたね……」
「……、それってどういうこと?」
あたしは兄に質問してみる。どうやらマテリアルピクターという職業はかなり物騒なような気がしてきた。
「とりあえず、分かったことはマテリアルは横取りされるという事とそれを防ぐには戦闘能力が必要って事みたいだよ」
兄貴もちょっと嫌そうな顔をしてそういった。
う~ん、なんか想像していたものとは、ますます違うような気がしてならないのは何故!?
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