結晶採取師~マテリアルピクター
第5話「実践訓練(前編)」
擬似空間の町の中
あらすじ
採取訓練から半年、魔界にも秋空が来てやっとリオン達は実施訓練をする事になった。
実施訓練が始まるになたってなにやら受けられる人と受けられない人がいるようで、それ以外にも何かありそうな予感。
※第5話始まりました。気長にやっていきます(*^-^*)
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ここに着てから、もう随分と長く講習や訓練をしてきたように思う。
あれからすでに半年が過ぎていた。
魔界にも一応季節はある。
その景色は春から夏そして秋になるかならないかくらいに時は過ぎていた。
採取訓練から探査訓練に感知訓練、戦闘演習とまぁいろいろやりましたよ。
基本的にな研修内容は午前中が「講習」つまり勉強で、「午後」が訓練・・・ようは運動見たいな物という風に分かれていて、あたしたちはそれにそって研修を受けていたわけだ。
そしてついに!念願の!?実践訓練が始まるのだ!!
ここまで来るのに随分かかりましたよ!
まぁなんというか、正直一緒に研修に入った研修生のうちの何人かがいろいろな理由でやめていったのも事実。結構訓練が厳しいのでしょうがないと思うし、あたしじゃないけど何人かは大怪我を負ってやめていった人もいるしやっぱりマテリアルピクターになるのって大変なのかもしれないと思ったときもあった。
でも、やっとここまで来たんだから後は実践訓練でもっと経験を積んで、早くマテリアルピクターとして仕事がしたい!
もちろん、あんまりとくじゃない魔法もうまく扱えるようになったしね。
あたしがやる気を見せればざっとこんなもんよと言わんばかりにこぶしに力をこめてガッツポーズをする。
「リオン、何をやっているの?早くしないと遅刻するよ!」と兄貴のアルデルが、
「お嬢様、また遊んでいるんですか!?いつになったらおとなしくなってくれるのやら・・・」その横で小型の黒竜の範空がぶつぶつ言いながらため息をつく。
「いいじゃない、ちょっと気合を入れているところなのに~」
「そんなことしてないで早く行こう。講習が始まってしまうよ」
「わ、分かっているわよ!」
そういわれて、あたしはテーブルにおいてある自分の鞄を掴んで玄関を飛び出した。もちろん、鞄の中には訓練で使うジャージが入っている。
「行ってきま~す!!」
「お嬢様、気をつけてくださいよ~!!!」
家の門を抜けていくと、遠くから範空の心配そうな声が聞こえるのだった。
講習が終わってお昼になるとフロン先生が教室にやってきた。
「みなさん、聞いてください。これから実践訓練に進むことが出来る人を廊下の掲示板に発表するので目を通しておいて下さい。それと、実践訓練をまだ受けることが出来ない人はあとで教室に来てください。分かりましたね?」
「は~い」
みんなが先生に向かって返事をする。
先生は、みんなの返事を聞いた後教室を出て行った。
「いよいよこれからか……」
「受けられるといいな」
「あたしは大丈夫かしら……?」
先生がいなくなると、みんなそれぞれ不安そうに言い合う。
そうか、今日から実践訓練が始まるのか……。
あたしは実践訓練が受けられるだろうか?ちょっと心配になった。
「みんな実践訓練が受けられるかどうか不安みたいだね……」
教室の様子を見ていた兄貴がそう言う。
「そりゃそうよ、みんなマテリアルピクターになりたくてここに来ているんだもん。実践訓練が受けられないってことはまだマテリアルピクターの仕事をすることが出来ないってことだよ。みんな真剣に悩むに決まっているでしょう」
あたしが兄貴にそう言うと、食事を終わらせて廊下にある掲示板を見に教室を出た。
「リオン、待って!」
後から兄もついてくる。
教室の外に出ると、廊下に表示された掲示板にはたくさんの人だかりが出来ていた。
何人くらいいるんだろう?廊下がぎゅうぎゅう詰めだ!
「はぁ~、凄い人だかりだね……、やっぱりみんな気になるんだね。実践訓練が受けられるかどうか……」
兄が廊下の光景を見てため息交じりに言う。
「そうね~、掲示板が見たいんだけど全然見えないわね」
あたしも背伸びをして何とか掲示板を見ようと頑張ってみるものの、この人だかりの前では全然掲示板を見ることができない。
「やっぱり掲示板見えないよ……」
「リオン、何をしているの?」
後ろからイライザが声を掛けてきた。
「ん?イライザか、なんか用?」
「何か用って、掲示板を見に来たに決まっているでしょう」
「ふ~ん」あたしはそう言ってまた掲示板を見ようと背伸びする。
「イライザ様、掲示板に名前が載ってますよ。よかったですね!訓練を受けることが出来ますよ!」
ナナオが嬉しそうに言う。
「ん!?何、掲示板が見えるの!?」あたしが驚いて聞き返すと、
「当たり前じゃない、遠見の魔法を使えばあそこにある掲示板くらい普通に見えるわよ。それにこれからはもっと厳しくなるのだから、悠長になんてしていられないわよ?」
そういうと、「ナナオ、行くわよ!」とそう言ってイライザたちは立ち去っていった。
何なのいったい?
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