4話「採取訓練」

あらすじ
採取訓練が終わってそれぞれみんな家に帰って行った。
イライザは自分の家へと帰るのだが・・・
4話目終わりです(*^-^*)
※第5話は少し時間を置いて再開します。

13
リオン達の住む町から大きく離れたところに大きな屋敷が見える。屋敷というよりは城に近いかもしれない。敷地内の面積も入れるとほど町と同じくらいの広さだ。
この場所は、ゴルベル財団が所有する土地であり城のような建物はゴルベル家の屋敷である。
屋敷の一角に小さな家々が立ち並ぶ。そこはゴルベル家に使える使用人たちの住まいである。ナナオの家はこの一角にある赤い屋根の建物に住んでいる。使用人の家も皆一般家庭の家よりも大きく立派な建物が多い、中には専用プールなどがある家もある。使用人の家がこれだけ凄いということはここを支えるゴルベル家の財力と権力が凄いということでもある。
イライザはここの跡取りとして生まれたのだ。
「お嬢様、お帰りなさいませ」
メイドの一人が出迎える。
とてもかわいい作りのメイド服を着ている。
黒を基調としているのだが、襟元にはかわいらしい赤いリボンと中央には小さな蝶を型どった金の留め金が付いている。メイド服のボタンのすべてが同じ蝶の留め金が使われている。お屋敷に使えるメイドたちの服といっても、とても気品あるデザインが使われている。
使用人の待遇とここで支給されているメイド服がとてもかわいらしいリボンをあしらったデザインが使われており、ここに就職希望するものも多い。
「お嬢様、ユディエル様がお呼びです。」
「お父様が?何かしら・・・」
珍しく父が娘を呼ぶなんて、そう思いつつイライザは帰宅早々メイドに荷物を渡し部屋戻って着替えをすまし父の部屋へと向かった。
父の部屋は薄暗かった。部屋の奥で大き目のソファーに誰かが座っている。
「失礼したいします。何か及びでしょうか?」
イライザが一礼をすると
「イライザか・・・、帰ってきたようだな。修行のほうはどうだ?うまくいっているか?」
「はい、なんとか」
ソファーでくつろいでいた初老の男はゆっくりとイライザに近寄った。
随分と大きい男である。身の丈は2メートルはあるだろうか?がっちりした体型にシルバーブロンドの髪、魔力が宿っているのか青い目が暗闇で光る。少し肌が青白い。少し頬がこけている、まるで吸血鬼を思わせるような風貌だ。
この男がイライザの父ユディエル・ゴルベルである。
「お父様、いつお戻りになったのですか?連絡すれば、迎えに行きますのに……」
「うむ、ついさっき戻ったばかりだ。商談を済ませた後帰りの際に寄ったまでだ気にするな。それより、うまくなったか?もちろん、お前が一番うまいんだろう?」
「え!?ええ・・・」
イライザは一瞬びっくりしたが、すぐに言葉を濁した。
「まさかうちからマテリアルピクターに志願する者がいるとは、誰も思わなかったと皆が言っていたぞ。確かにマテリアルピクターになれるのはごく一部の物だけだといわれているが、もしお前が優秀なマテリアルピクターになればこの産業ももっとよくなるはずだ。我々魔導師からすればマテリアルはマジックアイテムを製作する上でなくてはならない物。何より、マテリアルピクターを輩出した家ともなれば、魔界中で一目置かれる存在にもなる!
もちろん、我がゴルベル家はもともと優秀な魔導師たちを出してきたと自負しているがさすがにマテリアルピクターになろうと思うものはいなかった。だがお前はマテリアルピクターになりたいと言ってきおった、わしは正直ビックリしたぞ!そんな簡単に慣れるものなのかとな・・・」
予想外の父の言葉に少し動揺するイライザ。
「――お父様?」
「だがお前は見事試験に合格し、今マテリアルピクターとして一歩を踏み出した!わしは反対しているのではない。頑張れといっているのだ。だがもしなるからには1番を目指せ!超一流のマテリアルピクターになれ!」
「――――!!!」
「期待しているぞ!イライザ!! さぁ、今日は疲れただろう。部屋に戻って休みなさい」
「は、はい……」
父ユディエルは興奮気味にそう言うと、酒とつまみをメイドに頼むとまたソファーに戻っていった。
イライザが父の部屋から出るとナナオが待っていた。
「ナナオ?」
「イライザ様大丈夫ですか?」
「ん?何が・・・?」
「ユディエル様に本当の事言わなくてもいいのかと……」
「本当の事?何を言っているの?マテリアルピクターになりたいというのは本心でそう思ったから試験を受けたのよ。別に他の目的があって受けたわけじゃないわ」
そうイライザが言うと、
「そ、そうですよね!マテリアルピクターになるのにそんな妙な目的なんてあるわけないですよね!!頑張って一流のマテリアルぴくたーになりましょう!」
ナナオは嬉しそうにそう言って立ち去っていった。
「うっ……!」
やっぱりまずいかも……と思いつつ、イライザはため息をつく。
動機が動機なだけに、バレたりしたら父にどんな目に会うのか……。
(まぁ、バレなければいいのよ!バレなければ!)
イライザは、そう心に決め自分の部屋へと戻っていった。
第4話「採取訓練」 完
4話-12へ
5話「実施訓練(前編)」-1へ
目次へPR
この記事へのコメント