4話「採取訓練」
あらすじ
無事初日の採取訓練が終わってほっとするリオン達研修生。
これからうまく採れる様になるまで、きつい訓練が続いていく。
でも1個のマテリアルを採るのにこんなに苦労するとは・・・、本職はどのくらい採取しているのかリオンは疑問に思うのだった。
12
「みんな今日一日ご苦労だった、大変だったろう?」
ジャンカン先生が労いの言葉を言う。
もう日はたっぷりと暮れている。おなかすいたな~。
「明日からはこれらの訓練を毎日午後からやるから覚悟するように!」
「ええええええっ!!!?」
みんなの驚き!あたしも驚いた!
ちょ、ちょっと待って!?この訓練毎日やるの!?
「みんなははっきり言って経験不足だ。たくさん訓練して、その体と魂に覚えこまないといけない。実際に仕事をする場合、今の調子では危なくてやらせるわけにはいかない。
そうだな・・・、最低でも1日3個くらいは採取できるようにならないとな。マテリアルピクターは一番小さな物で平均1日20個前後を取れるのが当たり前なんだ。しかもお前達が採った物は偽者、本物はもっと力もあるしあんなふうに採りやすくもない」
え!?あれって採り易い物なの・・・?おいおい、じゃ本物はどのくらいの物なのよ!
あたし達がビックリしていると先生が、
「まぁ、お前達ほとんどの物がきちんと採取に成功しているみたいだからこのままうまくいけば、実践訓練も受けれるようになるだろう。実践訓練でいい成績を残したものから、マテリアルピクターとして仕事をすることが出来るようになる。みんな頑張るんだぞ!」
実践訓練!
その言葉を聞いてみんな押し黙った。
押し黙ったというよりは、みんなの眼が真剣になった。
この実践訓練でいい成績つまり、合格した者がマテリアルピクターとして実際にマテリアルを採取するために人間界へといくことが出来るだ。そりゃ、みんなやる気が出るでしょう!
この実践訓練でいよいよ、マテリアルピクターとしての第一歩として踏み出すことが出来るのだ。
まぁその前にいろいろやらないといけないのだろうけど……。
この後地理や地形などを利用した探査訓練とか、マテリアルの波動を探す感知訓練とかもやらないといけない。
でも今は、ご飯食べてお風呂は入って寝たい・・・。
「それじゃ、今日の授業は終わりだ。全員解散!!」
「う~、疲れた……」
「飯食いて~」
先生の解散宣言と同時にみんなおのおの家路へと向かう。あたしもかなり疲れた、ジャージにべっとり汗がつく。
「今日は大変だったね~」
隣で兄貴がそう言う。
「うん、早く家に帰ってご飯が食べたい……」
「あははは、リオンはおなかがすいたのか?」
「そういえば、さっき採取したマテリアルはどうしたの?」
「ああ、あれ?あれは偽物だし先生に返したよ」
「そっか……」
「もし本物だったら……うん万G?」
「リ、リオン……」
兄のあっけにとられた顔など気にせず、情けない顔してだらしなく言うあたし。やはり借金があるのでそっちの事を考えてしまう。
「と、とりあえず実践訓練が出来るように頑張らないとね!」
「そうだね、実践訓練が出来るようになってそこで合格点もらえばマテリアルピクターとして仕事が出来るわけで……。で、マテリアルを採取できればお金も入る!
うん、だんだん近づいてきた!」
あたしが意気込むと、
「今のあなたじゃ無理ね」
と、後ろからイライザが言ってきた。その横にナナオがいる。
「な、何が無理なのよ!」あたしが文句を言うと
「魔法ももくに出来ないくせに、マテリアルピクターになれるわけないでしょう?なんであなたみたいなのが初期試験で合格できたのか不思議だわ。」
うぐ、確かに魔法はへたっぴだけどイライザには言われたくない!
「ふ~んだ!練習すればうまくなるもん!!」
「練習だけでうまくなるわけないでしょう!!あなたには魔法の才能はないわ!!」
「何だと~~~!!!」
にらみ合うあたしとイライザ。何でこいつはあたしばかり突っかかって来るんだ!?
「イライザ様・・・」
ナナオが複雑な顔をしてあたし達の様子を見ている。
「ふ、2人ともやめなよ。当分俺達はチームとしてやって行くのだから、仲良くしようよ・・・ね?」
兄貴があたし達をなだめる。
そんなの言われなくたって分かっているけど、こいつがちょっかい出すんだもん腹立ってくる!
「行くわよ、ナナオ!」
「イライザ様!!」
イライザはフン!とそっぽを向いて、さっさとあたし達の前を通っていった。その後ろをナナオがついていく。
「何なのよ、いったい!」
あたしにとって、イライザの行動はまったく理解出来なかった。
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