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【今月のお題小説】【家族】
お題内容は
こちら
今回も4ページくらいの文章です。
親子の夏の日の冒険をイメージして書いて見ました。
調子のいい「父ちゃん」と「僕」の冒険です。
ヘタクソだけど、楽しんでもらえれば嬉しいです(*^-^*)
8月企画小説「家族」
「今年の夏はとても暑い。そこで、父ちゃんは考えた!」
父ちゃんは自信満々でそう言った。
「えっ?何々??」
どっかへ連れて行ってくれるのかな?僕はとても興味があった。
「どうせまた変な思い付きでしょう?みんな、信じちゃダメよ!」
母ちゃんがあきれた顔でみんなに言う。
「何を!?よし、そんなに言うのなら本当に証拠を見せてやる!!」
父ちゃんがそう言って部屋の置くから変な紙切れを持ってきた。
その紙切れにはミミズがのたくった文字が書かれていて、なんて書いてあるのかちょっとも読めない。
「父ちゃん、これ何が書いてあるの?全然読めないよ。」
「うむ、これはだな。『宝の地図』だ!しかもこの山の近くにあるぞ!!」
と、父ちゃんは自信満々に言った。
「何言っているんだい、どっかのゴミから漁って来ただけだろう?そんなことよりも、とっとと今日の晩飯でも獲ってきて貰いたいものだね!」
母ちゃんが不機嫌そうに話す。
「僕、お宝探したい!」
「そうか!?良し、探しに行くぞ!!」
父ちゃんと僕は母ちゃんの話なんかまったく聞いてない。
「しょうがない親子だね……」
母ちゃんは、僕の弟をあやしながらあきれた顔でそう言った。
そして、父ちゃんと僕の宝探しが始まった。
「父ちゃん、歩きつかれたよ……」
「何言っているんだ?まだ家を出て数分しか経ってないぞ?ほら、男ならもっとしっかり歩け!」
家を出て山道を歩く事数分、こんなに上り坂が多いなんて聞いてないよ。道に生えている草なんかが、僕の背丈くらいあるのか凄く足に絡みついて動きにくい。それに気温を高くなって凄く暑い……。
「坊主、お宝はそう簡単には見つからない物だぞ!?今あきらめてどうする?」
「そうえいばさ、父ちゃん。お宝ってどんなの?食べ物なの?」
僕は肝心のお宝がどんなのか知らない。
「さ~な~、俺も知らん。」
どうやら父ちゃんも知らないようだ。
「いいか?知らないから探すんだ。分からないから興味があるだろう?そう言うのをお宝というんだ!」
「そうなの?」
なんかちょっとおかしいような気もするけど、父ちゃんがそう言うのなら絶対そうだ!
「それとな、お宝を探すのは危険がつき物だ!」
「え!?お宝を探すのって危ないの!?」
「当たり前だ!だからお宝って言うんだぞ!?」
「父ちゃん、なんでも知っているんだね!凄いや!!」
そんな会話をしながら僕達は山道を登っていった。
2時間ほど歩いたあと、ちょっと小休憩。すると父ちゃんが立ち止まって、『お宝の地図』を広げた。
「父ちゃん、何してるの?」
「うん?今どの変かなと思ってな……」
「どの辺かなってどういう事?」
と、僕が聞いても父ちゃんはじ~と約10分ほど『お宝の地図』とにらめっこしていた。
「何か分かったの?」
「うむ、たぶんこっちに間違いなさそうだ」
父ちゃんは何かを納得したかのようにうなずいて、『お宝の地図』を懐にしまった。
「良し行くぞ!坊主!!」
「行くぞ~!!」
そう言って元気に僕達は出発した。
そして2時間ほど経つと、だんだんおなかがすいてくるわけで……。
「父ちゃん、おなかすいた……」
「む!?もう、そんな時間か?よし、待ってろ!父ちゃんが飯を獲って来るからそこの木の根元でじっとしてろ。もしなんか怖い物が出てきたら近くに茂みに隠れるんだ。いいな?」
「うん、分かった!」
そういって父ちゃんは飯を探しに言った。
お宝探しっておなかがすくんだね……。
僕のおなかがグ~グ~鳴いているよ。
父ちゃんが飯を探しに行って30分くらい経っただろうか?僕は少し眠くなってウトウトしていた。僕は気がつかなかったけど、何か怪しげな気配を感じて耳を立ててみた。
そして薄っすらと目を開けて見ると、そこには大きな影が!!!
「!!!??」
僕はビックリして、父ちゃんに言われたとおり茂みに隠れた!
こっそりと茂みから僕に近づいた連中を覗いて見る。
それは身の丈2メートルは超えているだろう、巨大な熊が2匹うろついていた!
父ちゃんの言ったとおり、まさに宝探しや冒険は危険がつき物だ!
なにやらクンクン嗅ぎ回っている。早く熊達がその場から居なくなるよう僕は必死で祈った!
「おい!」
「!!!!」
謎の超えにビックリして声を出しそうななった僕の口を大きな手が押さえ込んだ。
「声を出すと、熊に気づかれるぞ!?」
「ふふぁふぁ!!」
「だから静かにしろって!」
よく見たら、それは父ちゃんだった。父ちゃんは小声で僕に注意を促す。
父ちゃんは、僕を抱えながら少しずつその場から熊たちに気づかれないように移動し始めた。僕は声を出さないように手で口をふさいで沈黙を守った。
熊たちからだいぶ距離が慣れたのを確認すると父ちゃんが「しゃべっていいぞ」と言った。
「父ちゃん、怖かったよ……」
僕が弱々しく言うと
「何言っているんだ!?あれしきの熊くらいで!父ちゃんは平気だぞ!熊の1匹や2匹やっつけることだって出来るぞ!?」
「本当!?」
「ああ、本当だとも!!」
「じゃ、何でやっつけなかったの?」
父ちゃんは熊よりも強いのか!!じゃ、何で倒さないのか不思議に思った。
「ほ、ほら、え~となんだ……。あっ!ほれ、俺は今お宝を探しているだろう?宝探しは体力を使うんだ。無駄な体力を使わないように今回は熊をやっつけるのをやめたんだ。分かったか?」
「そうなんだ!!父ちゃん凄いね!!!」
僕の父ちゃんはやっぱり凄いと思った。
そうだよね、お宝探しってたくさん歩くもんね。僕も歩いてて凄く疲れちゃった。安心したらまたおなかがすいてきた。
「父ちゃん、安心したらおなかすいてきたよ」
「おお、悪い悪い。腹減ってたんだっけ、よっしゃ!飯を食おう!!」
そう言って僕と父ちゃんはお昼ご飯を食べた。
ご飯を食べて休憩した後、僕と父ちゃんはまた歩き出した。
小1時間くらい歩いたあと山道が二手に分かれている。二手に分かれた分岐点の位置に石で出来た小さな物とそれを囲むように木で出来た箱がかぶさっている。
「父ちゃん、これは何?」
「これはな、『地蔵』って言うんだ」
「じぞう?」
「昔ここら辺に住んでいた連中が崇めていた神様さ」
「かみさまって何?」
「う~ん、なんて言ったらいいかな……」
父ちゃんはちょっと考え込んだ。
僕はいけないことを聞いてしまったんだろうか?
「父ちゃん、ごめん。変な事聞いちゃった……」
「いやいや、お前は悪くないぞ?神様ってやつはな、この山のことだよ」
「このお山のこと?」
「そうだ、この山に日頃俺達はお世話になっているだろう?」
「お世話?」
「ああ、住むところを貸してもらったり、美味い木の実をもらったり、おいしい魚をもらったり、いろいろご馳走してもらっている。全部この山からもらっている、そうだろう?」
「あ、そうか!!」
「その感謝の気持ちをこめて、この『地蔵』が建っているのさ。今日もおいしいご馳走ありがとうございますってな!」
「じゃ僕もありがとうございますってお礼を言うよ!」
「おう、じゃんじゃんお礼を言うといい!!」
僕は神様に『ありがとう』を言った。
父ちゃんはなんでも知っているんだ!
「じゃ、神様の周りにあるこの木の箱は何?」
「これはな、雨除けだ。神様も風邪引くといけねぇからな!」
「へ~!」
「さて、宝はもうすぐ近くのはずだ。行くぞ!坊主!」
「うん!!」
分岐点を右に進んでいくとだんだんと山の頂上に近づいているような気がしてきた。
「父ちゃん、この道で合っているの?」
「ああ、間違いない!!」
父ちゃんは地図を見ながら、山道を登っていく。
地図を見ながら上っているので、前が全然見えないのに父ちゃんは平気で上っていく。父ちゃんはやっぱり凄いな……。
「いてっ!」
そう思っていたら、父ちゃんが石につまずいて転んだ。
「あはははっ」
「こら!笑うな……」
父ちゃんは、バツが悪そうに照れながら言った。
起き上がって、また歩き出す。
「おっ!どうやらゴールが見えてきたぞ!!」
「本当!?」
僕達がたどり着いた先にある山の頂上付近に、木と石で出来た大きな建物が見えてきたのだった。
「父ちゃん見て!父ちゃんにそっくりな石があるよ!!」
そこには父ちゃんにそっくりな石が2つ左右に置いてあった。僕はその石をペシペシ叩いてみた。とっても固い。
「うむ、これは神様に仕えている連中だな」
「え!?そうなの?」
「ああ、俺達の仲間には神様に使えている連中もいるんだぜ!凄いだろう!?」
「凄い凄い!!」
父ちゃんはそう言って石を見上げていた。そして広い石の地面を行くとお山が全部見渡せる場所に着いた。 お山は緑の衣を着てとても綺麗だ。お山の下には川が流れている。いつも父ちゃんと遊んでもらっている場所だ。あっちのほうには僕の家がある。
「父ちゃん、ここ凄いね!」
「なるほど……、これがお宝ってやつか……」
父ちゃんは何か分かったのか、1人納得してうなずいている。
すると、父ちゃんの耳がピンと立った。
「む、誰か来る。坊主こっちに行こう」
「??」
僕はよく分からないまま父ちゃんの後を着いていった。
建物の下に隠れると、足跡が聞こえてくる。それと同時に甲高い声も聞こえてきた。
『さっきそこにいたのに~』
『何がいたのさ?』
『狐よ、狐!親子だったのかな?とってもかわいかったの!!』
「父ちゃん、あれなんて生き物なの?」
僕ははじめて見る生き物に興味津々だ。
「あれはな、『人間』って言うんだ」
「にんげんって何?」
「う~ん……」
父ちゃんは考え込んだ。また僕はいけない質問をしてしまったんだろうか?
「人間って言うのはな、良いやつと悪いやつがいるんだ。この建物も作ったのは人間だ」
「そうなんだ、人間って器用なんだね!」
「まぁ……、そうだな……」
父ちゃんは複雑そうな顔をした。
「あの人たちは何しに来たの?」
「ん?あれは神様に会いに着たんだろう」
「そうなんだ!人間も神様に会いにくるんだね」
「あぁ、人間の中にも神様を頼っているやつがいるからな。そろそろ帰るか?」
「うん!」
僕と父ちゃんは家に帰ることにした。
家に帰ると母ちゃんがご飯の用意をしていた。
「で、結局お宝ってなんだったんだい?」
母ちゃんも気になっていたみたい。
「僕も気になる。」
「おや、一緒に行ったんじゃないのかい?」
「行ったけど、よく分からなかった……」
「おやおや……」
母ちゃんは笑いながらご飯の準備をしている。
「お宝は在ったぞ!」
「本当!?」
父ちゃんは自信満々にそう言った。
「お宝は……、この『山』だ!」
し~~~~~~ん……。
一瞬、時間が止まったような気がした。
「はいはい、そう言うことにしておいてやるよ」
母ちゃんはあきれた顔でご飯の準備をしている。
「父ちゃん……」
「ホントだって!!!間違いない!!」
父ちゃんは慌てたながらも『お宝=山』を力説していた。
でも僕にとっては父ちゃんとの冒険が一番の『お宝』だと思った。
またどこかに連れてって欲しいな……。
その頃、山の頂上にある神社のでは1人の女性参拝客が1枚の紙を拾っていた。
「何かしら、これ?ガイドブック?」
その紙は肉球のあとがたくさん付いていました。
それは狐の父ちゃんが忘れて行った例のすす汚れた古い紙……。実は、何年も前に発行された『白川山神社参拝ルート』と書かれた1枚のガイドマップなのでした。
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