4話「採取訓練」
あらすじ
自分達で偽マテリアルを採る方法を考えたリオン達。
早速その方法として、武器に魔法をかけてみる事にしたのだが・・・?
何故か、リオンだけが失敗するのでした。
9
正直に言おう!
あたしは魔法が得意じゃない。
持っている鎌に向かって呪文を唱えて見たが、一瞬青白く光ったと思ったら光が霧散した!
これで5回目……。くっ、また失敗した!
無駄な魔力ばかりがドンドン消耗していく。おかげであたしの額にはべっとり汗がつきまくっていた。
「あなた、また失敗したの!?これで何回目なのよ!?」
はい、失敗しました。5回目です……。
痺れを切らしたイライザが物凄く怖い顔で文句を言う。彼女の綺麗な顔の眉間には、怒りで出来たいくつものしわがたくさんあり、額には怒りマークがいくつも出てピクピクッといっている。イ、イライザさん。ちょっと、怖いです……。
たぶん、あたしの顔は半ば青白い顔をしているようで、
「まるで呪文を唱えるたびに、無駄な魔力を使っているみたいよ、あなた……」
イライザに呆れ顔で言われた。
「リオン、無理しなくていいよ。期待していないから……」
ガーーーーン!!
兄のアルデルが優しい顔をして惨いことを言う!
「うわ~~~ん!!!」超ショック!!
「リオン、ごめん!!!」
あたしは体育座りして泣き出した。
それを見ていたナナオがあきれた顔で、
「何やっているんだ、お前ら・・・」
「リオン、あなた邪魔だからそこの隅っこで見てない!」と、しまいにはイライザに言われてしまった。
は~、あたしは結界の隅っこでジャージ着て体育座りしてみんなが練習しているのを遠くでぼ~と眺めているしかないのか・・・。
そんな風にあたしが黄昏ていると、フィールドを見回っている戦闘訓練の講師ジャンカル先生がやってきた。
「何やっているんだ!?リオン、何故みんなと練習しない?」
「ふぇ?」
あたしが力のない返事をすると、
「先生、すみません!リオン、こっち着なさい!!」
イライザがやってきたあたしを引っ張っていく。
「まったくもう、先生に怒られるでしょう!!?」
イライザがあたしのジャージの襟を掴んでみんなのところへ連れて行く。
「しょうがないわね、あなたはそこで魔法の練習をしていて頂戴。」
う~ん・・・て、結局あたしはのけ者かい!
「何を言っているんだイライザ、みんなで練習しないとダメだろう!リオン、一緒に練習しよう。」
ついさっきのけ者にした兄貴がそう言うことを言う。あたしはどうせお荷物ですよ!
「リオン、もう一度チャレンジしよう。いつかもうまくいくから・・・」
兄が身もふたもないことを言う、それってあたしのほとんど魔法が成功しないということかいよ!?
「ぶーーーッ!!何よ、みんなしてあたしを馬鹿にして!」
「馬鹿になんかしてないよ!リオンは魔力コントロールが苦手だからうまく魔法が使えないだけといっているだけだよ。呪文はちゃんと合っているんだから。」
兄が慌ててそう言う。そうか、呪文は合っているのか……。
じゃ、何で上手くいかないんだろう?
「じゃ、どうすればうまくいくの?」
あたしは兄に訊いてみた。
「リオンはたぶん、力を込め過ぎるんだと思うんだよ。だからもう少しリラックスしてそこから集中して呪文を唱えたらいいと思う。イライザもそう思うよね?」
「え!?ええ……」
兄に念を押されてイライザも同意した。ふ~ん、そうなんだ。
そういわれれば、もう一度チャレンジしてみようと思う気持ちが沸いてくる。
「じゃ、もう一度練習してみる」
ちょっと照れたようにあたしがもう一度挑戦するといったら、
「リオン、頑張れ!!」
兄貴が嬉しそうに応援する。
まったくもう……。しょうがない、もう一度やってみるか!
あたしはそう決意して、心を落ち着かせるために深呼吸する。
そして、もう一度『魔力付与』の呪文を唱えてみた。
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