4話「採取訓練」
あらすじ
採取訓練を始めたリオン達。
兄のアルデルは、どうやら偽マテリアルの正体が分かったようで・・・。
でも何で分かったのか不思議なリオン、その疑問を兄のアルデルが教えてくれるのでした。
5
痺れたというあたしの意見を聞いただけであの擬似マテリアルの属性が分かったと兄は言う。
それって本当なの?なんだか疑わしい。
そんな目線で兄を見ていたらイライザが、
「あなた、お兄様の言っていること疑っているの!?」
えっ!?お、お兄様??一瞬イライザが何を言ったのか分からなかった。
「い、イライザ、あんた今なんていった?」
あたしが聞き返すと、
「な、何よ?あなたのアルデル様はあなたのお兄様でしょう?何か間違っているわけ?」
間違ってはいない……が、イライザがそんなことを言うとは思っていなかったからちょっとビックリ。
こうまであたしと兄に対しての態度が180度変わるとは……。ちょっと呆れてしまった。
「2人とも何を話しているの?まだ訓練は終わっていないよ!」
「そうですよ!早くマテリアルを回収しましょう!でないと授業が終わりません」
兄のアルデルとナナオが注意する。
「分かったわよ、それじゃ早く対策を教えてよ。どうすればこれが採取できるわけ?」
あたしがそう言うと
「あの擬似マテリアルは、たぶん雷属性だと思う。シオンが最初に授業で壊したマテリアルだよ」
「え?あれって雷属性なの?」と驚きつつ余計なことも言わないで欲しい……。
そんなこと思っているあたしに木を使う気配もなく兄は説明していく。
「マテリアルには属性ごとに特殊な波動とそれを利用した防御シールドを貼っているのは知っているよね?ということは、その防御シールドがどんな方法で外部の攻撃を防いでいるか授業でならったと思うけど」
兄がそう言うとイライザが自分の意見を言う。
「確か防御シールドにはマテリアルと同じ属性で構成されているって言ってたわね。でもシールドの特性を見抜くには、ある程度の攻撃をしないと分からないといってたわ。さっきの一撃だけでは分からないと思うけど……?」
するとイライザの言葉を聞いて兄が首を振ふる。
「攻撃はすでに2回やっているよ、リオンが先に攻撃したでしょう?」
「確かに、でもあれじゃどんな属性なのか分からないと思うけど……」
イライザが険しい顔をする。
確かに自分で言うのもなんだけど、あんな攻撃じゃどんな属性なのか分からないと思う。イライザの攻撃はかき消されたわけだし。
すると兄がとんでもない事を言った。
「実は、マテリアルが攻撃を受ける際に一瞬だけど小さな電流みたいな火花が飛び散ったんだ」
「……」
――一瞬その場の時間が止まった。
「えええっ!?」あたしとイライザとナナオが一斉に驚いた!
「そんなのいつどこで見たの!?」
兄につめ寄ってそういった、そんな現象どこで見たんだ!?あたしは見たことないぞ!
「え?皆見なかったの?」
アルデルは首をかしげ不思議そうに皆を見渡した。
「私も見てませんわ、そんな現象……」
「あたしも……」
イライザとナナオもちょっとビックリしたよう顔で言う。
「そうなの?俺はいつも不思議な波動をよく見るけど?」
兄がそう言うと、イライザとナナオがあたしの顔を見た。な、何よ!
「なるほど、そう言うことですのね……」
「ど、どういうことよ?」
「竜族は成人すると力の波動を見ることができると聞きますけど、どうやらあなたはまだ竜族としては『半人前』ということみたいですわね。どっちが優秀なのか、ホントとても分かりやすいですわよね~」
イライザがイヤミったらしく言う!
ガガ~ン!!!
な、何~!!?
う、うぐ・・・ひ、人が気にしていることを!!!
くっ、いいもん、どうせいつかは成人するから気にしてないもん!
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